12月23日から始まる全日本フィギュア選手権(~26日、さいたまスーパーアリーナ)。この大会は2022年2月に行われる北京オリンピックの代表最終選考会でもあり、男女ともに3枠しかない椅子をかけて、激戦が繰り広げられる。

女子は、ケガによりこの大会がシーズン初演技のぶっつけ本番となる全日本2連覇女王・紀平梨花、平昌五輪出場の実力者・宮原知子、さらに樋口新葉、松生理乃など国内外の大会での実績を持つメンバーがたった3つの枠を争う。

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その厳しい戦いの中で坂本花織、三原舞依という親友でもあり、ライバルでもある2人は、幼い頃からの“2人でオリンピックへ”という夢に挑む。

お互いを思い合う幼い頃からのライバル

21歳の坂本花織と、22歳の三原舞依。

学年こそ1つ違うものの、子供の頃から神戸フィギュアスケートクラブで練習を積み、一緒にオリンピックに出る事を夢見てきた親友でもあり、ライバルでもある2人だ。

坂本:
スケートが好きというのが誰よりも伝わるようなスケートをする人なので、それが今年こうやってオリンピックシーズンにまた一緒に全日本で滑れるというのが、凄く幸せなことだなって思っています。

三原:
日本のレベルも凄く高いので、本当に食らいついて頑張って行きたいなって。カオちゃん(坂本花織)とこうやって一緒に毎日練習できているのも凄く嬉しいですし、応援しながらも、一緒に頑張りたいなって思っています。
 

2017年、平昌オリンピック代表の座をかけた全日本でも、2人はしのぎを削っていた。

四大陸選手権女王となっていた三原は、SPでジャンプのミスがあり7位と出遅れる。それでも、FSでは全てのジャンプを成功させ、204.67点で5位。この決死の演技に心打たれた人も多いだろう。

一方、坂本はシニアデビューの勢いそのままにSPは1位スタート。FSでも最終滑走の重圧の中、会心の演技でガッツポーズ。213.51点と、この大一番で2位。初の表彰台に登った。

その結果、平昌オリンピック代表の座を掴んだのは坂本花織。

三原の夢は叶わなかった。

それでも「カオちゃん(坂本)が五輪に出られることが嬉しい」と三原。それを聞いた坂本は「人好すぎかよ!」と三原の肩を叩く。「一緒に練習してきたのに嬉しいに決まってるやん!」と親友の吉報を素直に喜んだ。

そんな親友の思いと共に平昌オリンピックに挑んだ坂本は、初めての舞台でも躍動し6位入賞。その翌シーズンには全日本女王に輝くと、いまや日本女子を牽引する存在にまでなった。

坂本「4年間の積み重ねを爆発させたい」

坂本にとって2度目のオリンピックシーズンとなる今季は、フリーのプログラムに迷いながらのスタートだった。

初戦のサマーカップでは2018年全日本優勝時に使用していたフリーを滑ったが、「これ以上の得点の上積みはない。上に行くためには、新しいので行くしかない」と覚悟を決め、新プログラムへの挑戦を始めた。

「4年前はシニア1年目。がむしゃらにやっていました。今季は、今までやってきた積み重ねもあるし、やらなきゃいけない感があります」

4年前はシニアデビューの勢いのまま掴んだ五輪代表だった。今季坂本が話した「4年間で積み重ねて来たもの」とはスケーティングスキルの向上だ。

覚悟を決めて挑んだ新フリーは、休む場所がないほどステップが詰め込まれた高難度プログラム。4回転やトリプルアクセルを組み込んでいない坂本にとって、世界で上位に進出するためには、このプログラムをいかに質高く仕上げるかが重要となる。

そんなハードなプログラムに挑む坂本の背中を押す存在が、4歳の頃から坂本の指導を続け、「お母さんよりもお母さんみたいな存在」という中野園子コーチだ。

厳しくも愛のある中野園子コーチ

「歩いてる場合じゃない。はい!そのままやる!きついのはわかってるやん。強さを表すんやったらそこから頑張らな!」

中野コーチの愛ある檄が飛ぶ中、ただひたすらプログラムの完成度を高める練習を続けてきた。シーズン序盤は難しいつなぎの中にジャンプを組み込むことがなかなか出来ず苦戦したが、毎週試合に挑むハードな連戦を戦っていく中で新プログラムを習熟させていった。

「10月は4週連続で試合をして、そういうのが初めての経験だったので、正直試合始まってすぐは『これ大丈夫かな』と思ったんですけど、思ったより出来が良くなるのが早かったので、いい感じに集中力も切れずここまで来られたので、逆に連戦で良かったなと思いました」

11月に行われたNHK杯では、ショートとフリーをノーミスで揃え、トリプルアクセルを飛んだ選手よりも高得点の223.34点。シーズンベストをマークして優勝。確かな手応えを掴んだ。

「GPスケートアメリカの時に、スケーティングスキルが9点台に乗って、久々に9点台を見たなと思ってとても嬉しくて。先生も『ここから、もうちょっと9点台増やしていこうね』という感じで。NHK杯も9点台が結構ついたので、それは気持ち的に凄く上がりました」

坂本は全日本で「4年間の積み重ねを爆発させたい」と意気込む。

三原は悲願の五輪出場へ

「緩急はとっても良くなったけど、やっぱりトゥジャンプのトゥつくときに、まっすぐつかないと、崩れるんだよ。そうすると伝わらないんだよ。アクセルもえらいこっちに飛ぶんだけど、なるべく前に飛んでね。合わせて飛んでるのはダメだよ!」

練習中、中野コーチの愛ある檄が飛んでいたのは三原も一緒だった。

三原舞依の4年間は決して順風満帆ではなかった。2019年には体調不良で1年間の休養。

「お休みしてた時からここまで戻ってくるのも、私一人じゃ到底出来ないことなので、いろんな方々の周りの方々のサポートがあってこその今の私なので、その感謝をしっかり演技に込めるのが、一番私のしたいことです。

私の演技を見て笑顔になってもらえたり、元気になってもらえたり、ちょっとでも、1人でもいいので、涙を流してくださる方がいらっしゃったらいいなと思うので、試合でベストな演技をするための練習を、しっかりしていきたいと思います」

昨シーズン、戦いのリンクに帰ってくると、2年ぶりの全日本では復活の演技で5位と大健闘を見せた。

「昨日よりも成長して、今日よりも明日って感じで進んで行けたらいいなって思います」

その言葉通り、毎日真摯にスケートと向き合うと、今季は試合を重ねるごとにスコアを更新し続けている。

10月のアジアンオープン杯で203.58点で優勝すると、同月のGPスケートカナダでは210.01点で4位。11月のGPイタリア大会では214.95と自己ベストを叩き出し、五輪の選考基準の1つである技術点でトップに立った。

「滑れる事が凄く嬉しくて、中野先生から『まだまだいける』って言ってもらえたので、まだまだいきたいなって思いつつ、もっとレベルを上げるためには何が必要かっていうのをしっかり考えて、今はスピンを速くまわることとかGOEを少しでも高くもらえるように質を上げていけるように、プログラム全体を大きく見えるように滑りたい」

こう話す三原について、中野コーチも「きっとみんなもここまでやるとは思ってなかったんじゃないかなと思います。舞依はやっぱり集中力の天才なので、その分集中力と表現力でもっていきますんで、全く別のスケートになると思います」と太鼓判を押す。

2人で五輪に言ってほしいと願う中野コーチ

更に北京オリンピックについては、「2人で」という言葉を口にした。

「この前は舞依も悲しい思いをしたので、2人で行きたいですね」

勝負の全日本フィギュアは、坂本にとっては9年連続9回目の出場、三原にとっては2年連続7回目の出場となる。

坂本:
「2人で」と思えば思うほど、自分がもっと頑張らないとなという気持ちが今は強いです。やるべきことをやり尽くして、笑顔で終われるように。余計な事は考えずに、もうシンプルに、簡潔に、のびのびと滑れたらいいなと思っています。

三原:
しっかりカオちゃんについて行けるように頑張って、カオちゃんを見習いつつ、力強くカオちゃんみたいなパワーを私も出せるくらいしっかり練習を積んで、思い切って演技をしたいなって思います。
 

今度こそ、4年前になし得なかった2人揃っての夢舞台へ。その思いで2人が挑む全日本フィギュアは、23日の女子ショートから始まる。
 

北京五輪代表最終選考会
全日本フィギュアスケート選手権2021

フジテレビ系列で12月23日(木)から4夜連続生中継(一部地域を除く)
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/japan/