12月23日から始まる全日本フィギュア選手権(~26日、さいたまスーパーアリーナ)。この大会は2022年2月に行われる北京オリンピックの代表最終選考会でもあり、男女ともに3枠しかない椅子をかけて、激戦が繰り広げられる。

今季ベストスコア日本人1位の五輪銀メダリスト宇野昌磨は、その戦いに自身最高難度の構成で挑むという。

4回転ジャンプを5本、最高難度の構成

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「4回転5本を目指して、世界のトップと戦える選手になりたい」

こう話したのは平昌オリンピック銀メダリスト・宇野昌磨だ。

2度目のオリンピックシーズンとなる今季、 宇野は4回転ジャンプを5本組み込むという自身最高難度の構成に挑んでいる。これは、世界でも数人しかチャレンジしていない演技構成だ。

リンクの上で、何度も練習を繰り返す宇野が目指す超高難度プログラムには、ある覚悟が秘められていた。

「僕がこの構成をやる、って決めているからには、間違いなく僕が選考から落ちる可能性は増えるとは思うんです。このプログラムをやることによって、大きなミスを全日本選手権でして、(五輪)選考から落ちるという可能性も絶対あるとは思うんですけど、それでも僕は挑戦したい」

心に火をつけたのは、去年の全日本選手権。宇野はフリーで4回転4本のジャンプ構成に挑み、わずかなミスがあったものの、満足のいく演技を披露した。

2020全日本フィギュア選手権での羽生結弦

しかしその直後、衝撃の光景を目の当たりにした。

4回転4本を完璧に決め、圧巻の優勝を果たした羽生結弦。その演技は宇野のハートを激しく揺さぶった。

「ゆづくん(羽生結弦)の演技を見て、もっと上を目指さなければ敵わない。『もっとスケート上手くなりてぇ〜!』って本当に心の底から思いました」

さらに“世界一”を目指すためには、5種類の4回転ジャンプを自在に跳ぶネイサン・チェンの存在も立ちはだかる。

「スケートというのは、全ての要素があって成り立っているというのは自覚しているんですけど、最近の傾向だったり、点数の出方を見ると、やはりジャンプを跳ばないと。

2位、3位狙いはできたとしても、ネイサン・チェン選手がいる限り1位は無理だっていうのを(演技を)見て思いました。たとえその結果4位、5位になっても、1位を目指すためには、リスクを背負って試合に挑まなければいけない」

11年連続11回目の全日本で“挑戦”

当時14歳だった宇野昌磨(2011年全日本フィギュア)

10年前、初めて全日本の舞台に立ったのは14歳の頃。そこから一つずつ階段を登り、上手くなりたい一心で進化し続けてきた宇野昌磨。

今季の全日本は、実に11年連続・11回目の出場となる。

王者・羽生はもちろん、世界選手権銀メダルの鍵山優真、さらには佐藤駿、山本草太、島田高志郎など、若手の実力も伸びてきている中、オリンピック代表3枠を巡る熾烈な戦いが待っている。

「どうなるか本当に分からない。1つの失敗でひっくり返る。(北京)オリンピックは、誰が落ちても、誰が選ばれても、おかしくないのかなというのが正直な感想です」

そんな厳しい戦いだからこそ、挑戦と覚悟のプログラムに挑むことを決断した。

11月に行われたNHK杯では、最も課題とする冒頭の4回転ループから、続く4回転サルコウを初めて連続で成功。4回転フリップこそ決まらなかったものの、5つのうち、4つの4回転を成功させ、見事優勝を果たし、全日本へ向けて大きく弾みをつけた。

「今が、僕がスケートをやってきた中で、一番ジャンプが仕上がってるシーズン。だからこそ、自分で自分に期待しているんだと思います。

どこまでやれるのか、自分でも見てみたい。どれだけ失敗しても“挑戦する”っていうのをやめたくない」

1位に“なれたら”から“なれるように”

明日、12月17日に24歳になる宇野昌磨は、自身を決して若くない年齢だと話す。

「フィギュアスケーターだと23歳、24歳っていうのは決して若い歳ではないんですけど、それでも僕は挑む、挑戦する立場でいたいなって思っています」

心身ともに充実の状態を迎えた男が、2度目のオリンピックをかけ、勝負の全日本へと“挑戦”する。このシーズンは「1位」という言葉も出てくるようになった。

「前までは1位に『なれたらいいな、嬉しいな』っていう感じで。自分のやれることをやって、なれたら嬉しいなという気持ちでしたけど、今は『なれるような練習をしていこう』という考えですね。そういう目標じゃないけれど、自分で“ここが限界”と決めずに、どんどん先を見据えて成長していきたい意志が、今はあるのかな」

そう話した宇野昌磨に、今年の全日本について聞いた。

「やっぱりアスリートトップで争える選手でいたい。そういう闘争心がまた芽生えて、僕のいるべき、僕がいたい場所はここなのかなって思っています。

今の自分を確かめる1つの舞台。そう考えています」

自身最高難度の構成で挑戦する、日本一を決める全日本フィギュア。宇野昌磨の戦いは24日、男子ショートの演技から始まる。

北京五輪代表最終選考会
全日本フィギュアスケート選手権2021

フジテレビ系列で12月23日(木)から4夜連続生中継(一部地域を除く)
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/japan/