新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株の感染が国内でも徐々に広がっている。
そんな中、懸念される感染の第6波について、専門家に見解を聞いた。

コロナ“感染ゼロ”が続く中、県民の受け止めは…

23日間連続で、新型コロナの感染者数の発表でゼロの日が続く鹿児島県内。
「新型コロナウイルスの第6波は起こると思いますか?」という質問に対し、県民は…

県民の男性:
第6波はあるのでは

県民の女性:
年明けから来るのではと思う

県民の女性:
来ると思うけど。(感染者が)少なくなってきた時に、オミクロン株が入ってきたから心配

1日に最多で251人の感染が確認された夏の第5波のイメージは、今でも鹿児島県民の心に強く残っているよう。

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その第5波を、鹿児島市立病院の坪内博仁院長は「リスクを感じた時期」と振り返る。

鹿児島市立病院・坪内博仁院長:
その頃(第5波)はやはり大変だった。重症患者があれ以上増えれば、救急医療とか手術しないと助からないような患者さんがICU(集中治療室)に入れない状態が起こる。そうすると、どうしても対応できなくなってくるので、非常にリスクを感じた時期

第5波の教訓をふまえ、鹿児島県内のコロナ病床は83床増え、最大で711床が確保されている。

鹿児島市立病院・坪内博仁院長:
第5波程度なら対応できると思う。オミクロン株の感染拡大が起こっても、毒性がそんなに強くないことを望んでいる

坪内院長が懸念するのは、新たな変異株・オミクロン株。
世界での感染が拡大を続け、国内でも感染者が徐々に増えている。

ワクチン効果は“25分の1”  抗体と結合しにくい特性

感染症学が専門の鹿児島大学大学院の西順一郎教授は、オミクロン株について「ワクチンでできた抗体がつきにくい」と解説する。

ワクチン接種によって体内にできた抗体は、ウイルスと結合することで、ウイルスが細胞に付着するのを防ぐ。
しかし、オミクロン株は抗体と結合しにくい特性がみられるという。

鹿児島大学大学院(感染症学)・西順一郎教授:
アルファ株や、デルタ株の程度ではない。オミクロン株は免疫からかなり逃れる

12月8日にファイザー社が発表した実験データを元に、西教授が作成したグラフ。ワクチンを2回接種した場合、感染をどれだけ防げるかを数値化したもの。
従来株とオミクロン株で比較すると、ワクチンの効果は25分の1となっている。

しかし、3回接種した場合は、効果が25倍になるというデータも示されている。

鹿児島大学大学院(感染症学)・西順一郎教授:
高齢者や重症リスクのある人、免疫不全の人は、3回目接種が早く必要。2回接種ではもう足りない

国は現在、空港などでの検疫を強化して、オミクロン株流入の水際措置を図っている。

その意図について、鹿児島市立病院の坪内院長は…

鹿児島市立病院・坪内博仁院長:
どんなに水際作戦をしても、(オミクロン株は)防げない。ではなぜ水際作戦をやるのか、それは時間稼ぎ。医療従事者や高齢者の3回目のワクチン接種を早く進める(ため)

感染力が強いオミクロン株 今後の展望は…

現在は、感染の状況が落ち着いている鹿児島県内。
今後の展望について2人は…

鹿児島大学大学院(感染症学)・西順一郎教授:
第5波みたいな、大きな波にならないようにしなければならないが、今のゼロの状態がずっと続くとは思わない。(人の移動が増える)1月以降に、多少の陽性者の増加があることは間違いない。オミクロン株が日本でも広がるなら、ワクチンを2回接種しているとはいえ、かなりの人が感染する可能性が高い

鹿児島市立病院・坪内博仁院長:
第6波がオミクロン株で起こるとすると、感染力が強いので、(感染者の)数はすごく増えると思う。飛躍的な感染者の数の増加に、どう対応するか考えないといけない。(宿泊施設が)元々計画している数で、収まるか(が心配)

2人の専門家が懸念するオミクロン株。
第6波が来るかはわからないが、新型コロナへの備えは続けていく必要がある。

(鹿児島テレビ)

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