子どもたちを対象に、無償もしくは安い価格で食事を提供する「子ども食堂」。
鹿児島県内に約80カ所あり、地域の人の交流の場としても認知度が高まりつつあるが、新型コロナの影響で活動自粛を余儀なくされる団体もあった。
鹿児島市に、2021年7月にオープンした子ども食堂を取材した。

おかえり子ども食堂 鹿児島市
おかえり子ども食堂 鹿児島市
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鹿児島市東千石町にある「おかえりこども食堂」。
普段は団体向けの飲食店として営業しているが、月1回から4回、不定期で子ども食堂をオープンしている。

子ども食堂の魅力は、みんなで顔を合わせて食事をすること。
子どもだけでなく、親同士のつながりも生まれる。

代表の川田杏奈さんは、自身が養護施設で幼い時を過ごした経験と、子ども3人を持つ母としての思いから、2021年7月に子ども食堂を始めることにした。

おかえりこども食堂代表 川田杏奈さん:
自分自身も居場所を探していた幼少期を過ごしていたので、親御さんの担い手になったり、子どもの気持ちを読み取ったり、今私たちができることがあるのではないかという思いから、こども食堂をオープンした

「寂しい」「キツイ」コロナ禍の食堂に届いた声

新型コロナの感染者が増加し始め、夫婦で経営する飲食店も厳しい状況が続く中、「自分と同じような境遇の人を助けたい」川田さんはそんな思いを持っていた。

おかえりこども食堂代表 川田杏奈さん:
仕事ができない分、生活費を立てるために新たに職を見つけて、子どもにかけてあげられる時間だけでなく、自分自身にも時間を費やすことができないのではないかと思い、ここを居場所にしていただけたらと

しかし、オープンしてわずか1カ月で鹿児島市はまん延防止等重点措置の対象となり、食事ではなく、弁当や食材を配布するスタイルに変えることに。

食事はテイクアウトのみ
食事はテイクアウトのみ

川田さんは、一緒に食事をしながら話す時間がない分、訪れた人にメッセージを書いてもらうことにした。

「コロナになって引きこもりが増えるし夫の仕事も減り、きつい」
「コロナで出かけられないのがさみしい」

各家庭の切実な悩みが、そこには書かれていた。

ストレスの解消になれば…食堂でお祭り気分

8月にピークを迎えた感染者が徐々に減り始めた9月末、川田さんは子ども食堂で「夏祭り」を開催した。

川田さんも浴衣姿で
川田さんも浴衣姿で

おかえりこども食堂代表 川田杏奈さん:
不要不急の外出を避ける意味で、自宅待機をしている人たちも多かったので、外に出られないストレスだったりとか…。少しでも3密対策を万全にしたうえで、何か行えるものはないかなというところから、お祭りを企画した

完全予約制、食べ物はテイクアウトだが、子どもたちは手作りの射的や輪投げなどでお祭り気分を楽しんでいた。

子ども:
これスーパーボール。楽しかったです!

(Q.どのゲームが楽しかった?)
子ども:
輪投げ

おかえりこども食堂代表 川田杏奈さん:
楽しんでいる姿が私たちにとってもうれしいことで、元気をもらえる

子ども食堂が「ただいま」「お帰り」言える居場所に

まん延防止措置も解除され、10月末に「おかえりこども食堂」は通常通りの営業を再開させた。

子ども:
野菜がおいしい。
(Q.家でも野菜食べるの?)
ううん

子ども:
一人で食べたり、家族だけで食べるよりすごくおいしかったです

親子:
(家と比べて)笑顔がすごく多かったように感じます。上の(年齢の)子から色々教わったりとか、人との接し方も覚えていくのかなと思って

おかえりこども食堂代表 川田杏奈さん:
通常利用で(人数が)戻ってくると思っていなかったんですけど、意外と人数多めに予約を頂いたのですごくありがたい。「ただいま」って言って、スタッフが「お帰り」って言えるような居場所作りをしていきたいなと思います

人と人とのつながりを生み出す、交流の場としての役割を担う「子ども食堂」。
密や接触を避けるコロナ禍で何ができるのか、模索は続いている。

「おかえり こども食堂」
不定期で月曜に開催 17時~19時
子ども:無料  おとな:300円
予約・スケジュールは公式LINEから @715imhle (※予約制)

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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