実は、福島・いわき市にバンダイナムコピクチャーズの制作スタジオが存在する。
外観からは、アニメーションスタジオの雰囲気は全く感じられない。
一体どんな作品を作っているのか?アニメーション制作現場の裏側を紹介する。

いわき市に存在するアニメスタジオの実態とは
中に入ると、玄関には...流石にバンダイ。シャア専用ザクとガンダムが待ってくれている。
急にアニメーションスタジオ感が出てきた。

バンダイナムコピクチャーズは、ガンダムシリーズなどを制作するサンライズ系アニメ制作スタジオのひとつ。
いわきスタジオは、1983年に創業したアニメ作画スタジオのアニメーターが合流する形で、2019年に設立。
人気アニメ「アイカツ」や「銀魂」など、様々なアニメ制作に携わっている。
案内してくれるバンダイナムコピクチャーズいわきスタジオの落合楽人さんは、ここで東京の制作スタジオと作品の進捗状況などを調整する役目、つまり現場監督。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
これ、東日本女子駅伝のポスター。このキャラクターデザインをした方が、映画「フラ・フラダンス」でも、キャラクターデザインをしています。そして、このいわきスタジオも映画制作の一部に関わっているアニメーションスタジオなんです

スパリゾートハワイアンズが舞台 映画「フラ・フラダンス」
2021年12月3日公開の映画「フラ・フラダンス」は、福島・いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」が舞台。
新人フラガールと同期の仲間たち、そして彼女たちを取り巻く人々との絆を描く物語。
映画の中で、いわき市の名所が描かれているのも魅力の一つ。
さらに、福島県出身のディーン・フジオカさんが声優に初挑戦している。

今回は特別に、「フラ・フラダンス」の映像をベースに、アニメーションがどのように作られているのかを見せていただいた。
制作現場を見せてもらう前に、ここでアニメーション制作の作業工程について。
まず、シナリオに沿って、映像表現の基本となる絵コンテを作る。
絵コンテから、動きのもとになる原画を作成。
原画をもとに、中割りと呼ばれる動画を1枚1枚描いて...仕上げに色付け。
それを、同時進行で作業が行われている背景などと合成して、一つのカットが生まれる。
いわきスタジオでは、「フラ・フラダンス」の原画、動画、仕上げの一部を担当している。

アニメ制作現場の裏側へ...
それではアニメーションの制作現場へ…
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
ここは何の部屋になりますか?
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
こちらは作画のブースとなっております。まずレイアウトという、作画の一番最初の部分になります。レイアウトというのがですね、この前にある絵コンテというものをもとに、画面を構成していく作業になります

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
線が赤くなったり青くなったりしてますけど、これは?
レイアウト担当・遠藤香さん:
アニメーションは連続した絵が動くので、順番に見比べて、動きを確認しています

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
絵を描いているときのこだわりって何かありますか?
レイアウト担当・遠藤香さん:
女の子のキャラクターは、髪の毛とかが長かったりするんですけど、これをフワッと動きに合わせて浮かすのが、結構難しくて
こうして描かれた原画は、作画監督のもとへ。
映画の場合、1,000カットを超える動画を作るため、膨大な原画が描かれる。大人数で作業するために、作画監督がそのクオリティーをチェック。品質を統一するために修正も行う。
作画監督・志賀祐香さん:
設定とかがあるんですけど、設定を見て、ちょっと袖が短いかなと思ったら付け足したりもするんですけど。指がちょっと太いかなあとか思ったら、細くしたり。もっと女の子らしい手はどうかなっていう

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
修正されるっていうことですか?
作画監督・志賀祐香さん:
クオリティを上げる作業ですね
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
なるほどな。ちなみに好きなアニメは何ですか?
作画監督・志賀祐香さん:
最近見てるのは「HUNTER×HUNTER」。結構前のものなんですけれども
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
なぜ今、「HUNTER×HUNTER」を?
作画監督・志賀祐香さん:
いや、美容室ですすめられて。名作ですね
絵と絵の間を埋めて…なめらかな動きを作る
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
次の作業を説明させていただきます。原画ってなったのが、本当にパラパラ漫画の飛ばし飛ばしで見てる。カクンカクンしている、その中の絵を描いて動きが滑らかに、本当にパラパラ漫画を作っていくような作業をしていきます

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
カクンカクンの間に何枚描くのですか?
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
何枚描くかというのは、そのレイアウトさんが、このタイムシートっていうのを決めて、黒文字で1・2とあるじゃないですか。
その真ん中に丸があるんですけど、ここが動画。
カクカクなるところに2枚入れて滑らかにしますよっていう指示になります
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
すごいな。これでどれぐらい時間かかるものなんですか?
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
1時間ちょいぐらいですかね
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
1時間ちょいで行けるんですか。いやでもすごいな、気の遠くなるような時間が...
さらに、この絵に複数のキャラクターを重ねると...動画が出来上がる。

細かな色塗り作業
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
こちらはですね、先ほどの最終工程である仕上げ、色を塗る工程作業する場所になります。
さっきまで見ていただいたのは線だけだったのですが、実際に色をつけていきます
福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
塗り間違いってないものなんですか?
バンダイナムコピクチャーズいわきスタジオ・落合楽人さん:
今塗っているのが夕方のシーンの色なんで、似た色というのが多くなってしまう。
そういうときは『仮色』って言ってですね、ちょっと派手な色、色間違いしやすい部分を、もっと色の区別がつく特徴的な色を塗って作業します。
色の変換っていうのがデジタルなんで機能があるので、そういうので一発で変換できます。普段は、仮色で作業することの方が実際多いです。
わかりやすいようにしておいて作業をしていって、最終的に色を変える

こうして色付けされたキャラクターと背景をミックスすると、一つのカットが完成。
こうして出来上がった映画「フラ・フラダンス」。プロデューサーの伊藤さんに話を伺った。

バンダイナムコピクチャーズ プロヂューサー・伊藤貴憲さん:
本作は、いわき市のスパリゾートハワイアンズを舞台に、フラダンサーを仕事に選んだ女の子たち5人の成長の物語なんです。
僕も試写会でいろんな方のリアクションを見て思ったんですけど、お母さんの目線になってとか、ダンサーの目線になってとか、先輩の目線になってるっていう感じで、非常に共感できる内容になっていますので、そういったところに注目していただけたらと思います
(福島テレビ)