2021年夏、国内で初めて、中国南部などに生息している大型のカミキリムシ「サビイロクワカミキリ」が、福島・郡山市で発見され、街路樹に影響が出ている。

街路樹を傷つける恐怖の外来種
何が問題かというと…
街路樹のイヌエンジュの幹にはいくつもの穴が開いていて、大きく抉られている箇所も。根元には木屑が溜まっていた。
この街路樹が、「サビイロクワカミキリ」の幼虫にとって住処であり大好物。

サビイロクワカミキリを発見した樹木医・安齋由香理さん:
「フラス」といって、幼虫が排出する木屑とフン、これがかなり堆積しているので、中に結構な数の幼虫がいて、「フラス」を排出しているんではないかと考えられます
発見した郡山市の樹木医・安齋由香理さん。
サビイロクワカミキリを発見した樹木医・安齋由香理さん:
おそらく、梱包材のようなパレットに付いてきたのではないかと推測されています。入ってきて定着するかは、そこの気候風土に合うかどうかもある。たまたま来たところに条件(エンジュの木)が揃っていたので、定着できた形になります

調べたところ被害は甚大で、54本ある街路樹のイヌエンジュのうち52本で被害が確認され、倒木のおそれもあったことなどから、これまでに4本が伐採されている。
徹底した対策が必要...中国では「異名」も
カミキリムシの生態に詳しい専門家は...
森林総合研究所 穿孔性昆虫担当・加賀谷悦子チーム長:
切るだけではだめ。切って積んでおいては成虫が出てきてしまうので、チップにしたり焼却したりするのが大切

中国では「エンジュキラー」と恐れられる「サビイロクワカミキリ」。
庭や街路樹にエンジュの木がある場合は要注意で、福島県は調査を検討している。
サビイロクワカミキリを発見した樹木医・安齋由香理さん:
そこ(エンジュの木)が、第2・第3の発生源になってしまう可能性が非常に高い。全て駆除していかないと、この虫を抑える事はできないので注意が必要

外来種の侵入で日本中に被害
カミキリムシは、国内の在来種だけで約800種が確認されている。
その多くは、森林で倒木などを食べて森の再生・更新の役目を果たしているため、こうした問題は引き起こしていない。

一方、日本森林学会によると、パレットや輸入木材などにくっついて外国から入ってくるカミキリムシは、既に200種類以上確認されているという。
最近、特に問題になっているのが「クビアカツヤカミキリ」。
環境省が2018年に特定外来生物に指定。繁殖力が強く、幼虫は桜・梅・柿・桃などの樹木に生息して枯らしてしまう。

国立環境研究所によると、2012年の国内初確認から2019年までに11の都府県に広がっているという。
福島は確認されていないが、お隣の群馬・栃木・茨城では既に確認されている。

「くだもの王国」福島にとっても、ひとごとではない。
(福島テレビ)