防衛省の研究機関・防衛研究所は、中国軍の動向に焦点をあてた「中国安全保障レポート2022」を発表した。
中国軍が長年研究してきた情報化を基盤とする統合作戦構想について、習近平国家主席が主導した軍改革によって「構想を実現し得る体制を整備した」と指摘している。

今年のレポートは、1991年の湾岸戦争以降に中国が本格的に研究を始め、2000年代半ばから提唱した「統合作戦構想」に焦点を当てている。

「統合作戦構想」とは、陸海空の「伝統的安全保障領域」に、宇宙やサイバー電磁波、認知領域など「新型安全保障領域」を連動させるもの。レポートでは、習近平指導部が建国以来最大の軍改革を断行し、習氏の統制力・指揮権限が強化され、統合化を重視した軍上層部の人事が行われたことなどを挙げ、「構想を実現し得る体制を整備した」と記述している。

また中国軍が台湾周辺や南シナ海での訓練を活発化させていることについて、「一連の訓練を通じて、各軍種間で情報共有体制と指揮体制システムの相互接続などを強化している」と指摘した。

さらに人材育成面では、軍の学校やオンライン教育によって統合作戦人材の育成に力を入れていることを紹介する一方、課題として、軍と民間との給与面の差が大きく、高度な科学技術知識に優れた人材の確保、維持、育成が難しいことなどを挙げている。

著者の防衛研究所・杉浦康之主席研究官は、今年のテーマについて「中国の軍改革は2020年に完成することになっていた。一体、中国はどこまで能力を強化できたのか、この時点で評価するのは重要と考えた」と語った。