岸田首相は24日、原油価格の高騰を抑えるため、史上初めてとなる石油の国家備蓄の余剰分を市場に放出すると表明した。
岸田首相は、首相官邸で記者団に対し、米国が石油備蓄の放出を発表したことを受け、「我が国としても、米国と歩調をあわせ、現行の石油備蓄法に反しない形で国家備蓄石油の一部を売却することを決定した」と述べた。さらに、「原油価格の安定は、コロナからの経済回復を実現する上で、大変重要な課題である」と強調した。
これまで東日本大震災やリビア情勢悪化の際に、民間の石油備蓄が放出されたが、国家備蓄が放出されるのは初めて。民間備蓄でなく国家備蓄を放出することについて、岸田首相は「まず国としてできるところからしっかり対応する」と説明した。
これに先立ち、米国のバイデン大統領が23日、ワシントンで会見し、今後、数カ月の間に、石油の備蓄を、あわせて5000万バレル放出すると表明した。
バイデン大統領は、日本、インド、韓国、イギリスも備蓄の放出に合意し、中国も同様の措置を取る可能性があるとしており、原油高騰に対し、各国が協調して対応することとなった。