「窓ガラスに養生テープ」の効果とは?

九州に接近中の台風14号は、17日午後にも上陸する見込みで、週末は西日本や東日本を中心に大荒れの天気に警戒が必要だが、台風への備えはすでにしているだろうか。

2019年9月に台風15号が上陸したときには、屋根瓦の飛散や電柱の倒壊などの強風による被害が千葉県を中心に報告された。その際にSNSを中心に注目されたのが、窓ガラスへの備え

窓ガラスに×印、または「米」の字のように養生テープを貼ることで、強風により窓ガラスが割れてしまうのを防いでくれるという話だ。

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同年の10月頃の台風時には養生テープや防災テープが一時品薄になった通販サイトもあるなど、大きな反響を呼んだ。あれから2年が経ったが、この「窓ガラスにテープを貼るだけ」という備えは、現在も有効なのだろうか? また台風対策として、他にどんなことをやるべきなのだろうか?

窓ガラスなどを取り扱うYKK AP株式会社に、改めてお話を伺った。

ガラスの“強化”ではないので要注意

――「窓ガラスに養生テープ」で、ガラスは割れなくなる?

YKK AP:
台風対策として、養生テープでガラスが割れるのを防ぐことはできません。


また、これまで「ガラスの飛散防止に多少の効果があるのでは?」と言われてきましたが、近年の大型化する台風を想定した試験では、養生テープを貼っていたとしても飛来物が衝突するとガラスが割れ、その破片が室内に飛散してしまうことが確認されています。


――では、どんな対策をしたらいい?

YKK AP:
台風の時「こうすればガラスが割れない」という対処法は基本的にありません。まずは、窓の外側でガラスを守ることができるシャッターや雨戸を閉めるなどの対策をし、直接、飛来物が窓ガラスに当たることを防ぐことが第一です。

それでも、万が一、ガラスが割れてしまった場合に備えて、割れたガラスの飛散を少しでも防ぐため、室内のブラインドやカーテンを閉めるようにしてください。

日頃から台風に備えて「窓の建付けチェック」などを

――台風に備えて他にやっておきたいことは?

YKK AP:
現在、窓が壊れている・建付けが悪くなっている・隙間が空いている、という場合は隙間を作らないようにしてください。不具合や異常を発見した際には、建築会社、工務店、管理人(管理会社)、または販売店に相談してください。

また日頃から、台風に備え、窓の下枠やバルコニーの側溝、排水溝の掃除をし、水はけをよくしておくことや、台風接近時には、網戸が強風で飛ばされる可能性があるので網戸のはずれ止めがセットされているか確認しましょう。

シャッターは隙間のないようしっかりと(イメージ)
シャッターは隙間のないようしっかりと(イメージ)

シャッターや雨戸を上手く使って対策を

今回、YKK APに伺った内容を参考に、今できる台風対策を編集部としてまとめた。


(1)窓ガラス割れの対策としては飛来物が直接窓ガラスに当たることを防ぐのが第一。

そもそも窓ガラスはある程度の風圧に耐える強度を備えているため、強風だけで割れてしまう、ということは少ない。ガラスが割れないようにするには、飛来物がガラスに当たるのを防ぐこと。しかし、これはシャッターや雨戸を閉める、あるいはもはや昔ながらの窓枠に木材を打ち付ける…という他はほぼ対処法がないという。

YKK APは「シャッターや雨戸が設置できない場合、飛来物が当たっても貫通しにくく、割れても破片が飛散しにくい、防災安全合わせガラス[2枚のガラスの間に60mil(約1.52mm)以上の厚さの強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜を挟み込んだ合わせガラス]の設置を推奨」している。


(2)まずは、窓の近くに飛びやすいものがないか確認し、シャッターや雨戸を閉めることで、それら自体が強風で飛ばされないように最後まで閉めてしっかりとロックする。

それでも万が一ガラスが割れてしまった時に備えて、室内のブラインドやカーテンを閉める対策をしてほしい。

また、ガラスが割れ、穴が空いてしまうと暴風が室内へ一気に流れ込み、その風圧で屋根が吹き上がってしまうという被害もありうる。破片の飛散を防ぐためのカーテンは厚手の物を選んだり、風が吹き込んでこないようにテープや家具などで床にしっかりと固定するとさらに効果的だろう。

出典:気象庁「風の強さと吹き方」
出典:気象庁「風の強さと吹き方」

なお気象庁のデータによると、屋根瓦などが剥がれ始めるのが平均風速15~20m/sほど。それらが飛散するのが風速20m/s~、さらに家の外装などが飛散し始めるのが風速35~40m/sとなっている。

近付く台風から命を守るため、できることを確実にして安全第一で過ごしていただきたい。

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プライムオンライン編集部
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