静岡・沼津市で大雨により橋が崩れた。
地域の交通の要となる「橋」がなくなると何が起きるのか。橋の崩落によって起きたさまざまな影響、そして復旧に向けた工事を追った。

橋の崩落

今にも水があふれ出しそうに波打つ川。7月3日に裾野市で撮影された黄瀬川(きせがわ)の映像だ。

その後、10キロほど下流で橋が崩落した。

三島市では1時間に332ミリの激しい雨を観測。沼津市には当時、大雨洪水警報と土砂災害警戒情報が発表されていた。

静岡県東部の裾野市や沼津市を流れる一級河川狩野川水系の黄瀬川は、茶色く濁って増水し勢いが増していた。
そして午前10時ごろ沼津市の消防に1本の通報が入る。

通報者:
橋が湾曲して崩れそうだ

警察官:
橋が崩落しているので、Uターンしてください!

沼津市と清水町を結ぶ黄瀬川大橋は橋脚の1つが傾き、橋がV字に折れ曲がった。

「橋が崩落しているので、Uターンしてください!」
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近くに住む女性は、音で異変に気づいた。

近くに住む女性:
この橋はトラックが通ると大きい音がするんですけど、それとはまた違った下から突き上げるような音。崩れる前に3回ドンという音がして、最後にものすごいドーン!と音がしたと思ったら、もうV字に橋が崩れた

多くの車が通行する幹線道路の橋では、崩れる直前まで車が走っていた。

近くに住む女性:
ちょうど崩れたときに車が通っていたので その車が大丈夫かなと思っていたけど、自力で出ていった。西の方面からはちょうどバスが来ていたんですけど、崩れる手前で止まった

バスは崩れる手前で停車した

幸いケガをした人はいなかったが、普段から橋を利用している地元の人たちにとって大きな衝撃だった。

子供:
大雨だとそうなっちゃう(折れる)とは思わなかった。すごい怖かった。次雨が降った時、こっちの(隣にある黄瀬川橋)まで折れたら怖い

1本の橋脚が傾き路面がV字に

雨宮帆風記者:
黄瀬川大橋が崩れてから1カ月が経過しました。橋は今もV字に折れたままで通行止めが続いています

沼津土木事務所工事第一課・渡辺克仁課長:
黄瀬川大橋は建設から約70年経過している古い橋ではありますが、大きな災害となった令和元年の台風19号といった大雨では異常は見受けられなかった。今回の梅雨前線豪雨による雨の降り方が、これまでにない大きな出水であったと思っています

崩落の原因について、国土交通省は大雨によって土が流され傾いたと分析している。

川を管理する沼津河川国道事務所は、低くなった橋げたが川の流れをせき止め水があふれる恐れがあるとして、大型の土のうを川沿いの道路や堤防に設置した。
通行止めは、元住民の足に大きな影響を与えている。

沼津土木事務所工事第一課・渡辺克仁課長「これまでにない大きな出水」

地域の大動脈が寸断され、連日の「渋滞」

雨宮帆風記者:
あちらに見えるのが崩れた黄瀬川大橋です。分散していた交通量がこの橋に集約しているため、通常よりも混雑しているように感じます

幹線道路の黄瀬川大橋が通行止めとなり、南側にある黄瀬川橋に車が集中し、通勤や帰宅の時間に渋滞を引き起こしています。
さらに…

崩落した「黄瀬川大橋」(赤)と南側の「黄瀬川橋」(橙)、緑色は「迂回路」

雨宮帆風記者:
通行止めとなっている黄瀬川大橋から他の道へと迂回するために利用されるこちらの道路は、このように渋滞が発生しています

黄瀬川大橋を避けようと、南北の迂回する道路も時間帯によって車の混雑が続いている。

住民:
みんな困ってる。ここの橋がないだもん

別の住民:
そりゃ不便さ、だって朝晩混むもの。僕の場合はもう道を変えている。道を変えても、朝8時とか夕方の4時過ぎは混んでしまう

「救急車が通ります。進路を譲ってください」

取材中には、緊急車両が渋滞の中をゆっくり通っていく場面も見られた。

渋滞の中を進む救急車

客足が遠のいた店も…

橋の近くの店は、通行止めの影響で客足が遠のいていると話す。

(Q.通行止め看板があると店に行けない感じがしますか)
アマノフィッシング・天野義雄さん:
これが書いてあれば一見入れないんじゃないかと、向こうから走ってきたら思っちゃいますから

店の前に交通規制の看板が

橋の西側にある釣り具店。常連客にはホームページなどで営業中と伝えているため、通行止めの看板があっても訪れてもらえるが、通りがかかりや初めて来る客は減っているように感じるという。 

アマノフィッシング・天野義雄さん:
通りがかりのお客さん、ひょこっと寄ってもらうお客さんに影響あるかなと思う。やっぱり早く復旧してほしい

多くの地元住民が早急な復旧を望むものの、完全な復旧の見通しはたっていない。
沼津土木事務所は、8月中にも応急処置として仮の橋「応急組立橋」をつくり、開通させる予定だ。

アマノフィッシング・天野義雄さん「これが書いてあれば一見入れないんじゃないかと」

復旧のための「応急組立橋」とは

応急組立橋は、片側1車線ずつの自動車用道路と歩道が確保される予定だが、大型トレーラーなど一部の車両は通行できない見込みだ。

雨宮帆風記者:
専用のカッターを使用し、路面のコンクリートを分解する作業が行われています

応急組立橋を設置するためには、まずV字部分の撤去が欠かせない。                                                                                                                                 

路面のコンクリートを撤去する

8月後半にはV字部分を大型クレーンで撤去したいとしているが、橋の真上に架かる電線に注意が必要で、なかなか作業は進まず難航している。
現在は、橋げたの路面のコンクリートを細かくして撤去する作業が続く。

想定外の橋の崩落。住民たちが日常を取り戻すために早急な復旧が求められている。

※動画は短時間で設営可能な「応急組立橋」 映像提供:北陸技術事務所

(テレビ静岡)