客席に観客がいれば大盛り上がりだっただろう。女子バスケットボール日本代表がナイジェリアを下して準決勝進出を決めた8月2日の試合のハーフタイム、両チームの選手たちがベンチに引き上げるとDJのかけ声とともに1人の“選手”がコートに入場した。

なめらかにコートインしてきた選手は…

2mを超えようかという95番を背負ったその選手は、コートの中央になめらかな動きで移動し、フリースローの距離を伸ばしながらシュートを連続で決めていく。

ハーフコートラインからのシュートは一度失敗してしまったが、泣きの一本でしっかりと華麗なロングシュートを決め、客席に手を振りながらコート外へ戻っていった。

トヨタのAIバスケットボールロボット「CUE5」だ。

国内のバスケットボールリーグである「Bリーグ」などではお馴染みで、ハーフタイムやイベントなどで観客を沸かせているのだという。

ハーフタイムの演出の工夫は他会場でも

バスケットの試合に限らず、チームによる対戦形式の試合会場ではハーフタイムの演出にそれぞれ工夫が凝らされている。7人制ラグビーのハーフタイムでは観客参加型のイベントが行われていた。軽快なサンバ風のBGMが流れるとともに、客席に場内カメラが向けられ、映し出された観客に「ドラムを叩いて」と指示を出す。

観客は場内に映し出された自身が映る画面のサイドに装飾されているドラムを手で叩いているかのようなジェスチャーで反応してみせる。

無観客開催となった今回、この日は海外からとみられる陽気な関係者が場内DJのコール&レスポンスに応え、ハーフタイム中の選手たちの一部からは笑みがこぼれていた。

バレーボール会場でも似たような催しがあった。ハーフタイムに入ると軽快な音楽が流れる。会場のカメラマンが音楽に合わせたリズミカルなカメラワークでコート横に控える青色のボランティアウエェアを着た人たちに寄っていくと、各々が思い思いのダンスやジェスチャーでそれに応えて会場を盛り上げる。中には気恥ずかしそうに応じるボランティアの姿も見られたが、後半の戦いに向けて選手が良い雰囲気で臨めるようにと努める姿が印象的だった。

テレビには決して映らない、しかも無観客でのハーフタイムショーは、参加している人やスタッフにとっては“想定外”だったはずだ。

しかし、こうしたハーフタイムイベントが客席の関係者の拍手とともに「無観客五輪」会場の雰囲気作りにつながっていることは間違いない。

(フジテレビ 五輪取材班 亀岡晃伸)

亀岡 晃伸
亀岡 晃伸

イット!所属。プログラムディレクターとして番組づくりをしています。どのニュースをどういう長さでどの時間にお伝えすべきか、頭を悩ませながらの毎日です。
これまでは政治部にて首相官邸クラブや平河クラブなどを4年間担当。安倍政権、菅政権、岸田政権の3政権に渡り、コロナ対策・東京五輪・広島G7サミット等の取材をしてきました。