華麗な回転技をキメる炒飯?気になる写真が続々

激戦の数々を生んだ東京オリンピック。
8月8日には閉会式が行われたが、創業89年の食品サンプルメーカーである株式会社いわさき(@IWASAKI_SAMPLE)が、公式twitterに投稿したある写真たちが、話題になったのをご存じだろうか。

軽やかに技を繰り出し宙を舞う!「ビッグスピン炒飯」

この記事の画像(13枚)

夏だしバーベキュー!!「一瞬のスキ突くBBQ」

本物の料理のようにしか見えない仕上がりだが…もちろんこれは、自慢の食品サンプル。
中華鍋の中で豪快に回転するチャーハンは、回転技が鮮やかな「スケートボード」に、アツアツのバーベキューの串をサッと持ち上げた瞬間は「フェンシング」に…といったように、競技を食品サンプルで表現したものになっているのだ。

他にも、競泳のバタフライをイメージした「トビウオの超イケ造り」や、レスリングの激しいぶつかり合いをイメージしたという「ローストチキン肉弾戦」などなど、思わず笑ってしまう写真が続々。

見ているだけで楽しくなってくる作品ばかりだが、食品サンプルを使ったこのアイデアはどこから生まれたのだろうか?
株式会社いわさきにお話を聞いてみた。

2020年のカレンダー用写真が再注目

――このアイデアはどこから?

いわさきでは2020年に、オリンピックイヤーに合わせて「スポーツ競技×料理」というオリジナルカレンダーを作りました。しかし、オリンピックが延期になり残念な感じになってしまい…。
この夏、Twitterでオリンピック競技の開催に合わせて、あらためて作品を紹介しつつ、食品サンプルならではの応援で盛り上げることを思い立ちました。

――こだわったのはどんなところ?

スポーツを模した食品サンプルというのではなく、料理のそのものをいかにスポーツに見立てて連想させられるか?というチャレンジをすることにしました。

過去のオリンピックイヤー(2008年)では「世界の料理」をテーマにしたことはあったのですが、スポーツそのものを料理で「見立て」て表現するということは初めてであり、前代未聞のチャレンジでした。
また、作品のタイトルやコピーに、スポーツ名を使わないという事にもこだわっています。料理のことを言っているようで、その実スポーツを彷彿とさせるという微妙なライン。これは何のスポーツ?まさか、アレ?!と、考えながら、言葉と合わせてお楽しみいただきたいです。

昭和30年頃から毎年、一年の感謝をこめたオリジナルカレンダーを、得意先の飲食店に渡すことが伝統となってるといういわさき。
今回twitterに投稿した写真たちは2020年のカレンダー用に撮影されたもので、1年の延期を経て開催された大会に合わせて再公開し、注目されたものだという。

そんな作品たちだが、こだわったのは「見立て」
例えば「ローストチキン肉弾戦」の写真には「思わずかぶりつきたくなるチキンレッグ。肉のぶつかり合いがなぜか戦いを思わせる?」という文章が添えられており、背景の青色と、黄色に赤いふちがついた皿はレスリングのマットを思わせるが…はっきりと「レスリングをイメージした」と明かしてはいないのがミソ!

twitterへは競技名と合わせて投稿されていたが、写真だけを見てみると、ちょっとした謎解きのような気分が味わえるのも面白い。

「寿司で緊迫感を!」カメラマンへの“無茶ぶり”も?

――それぞれの写真には、どんな工夫が?

「どんなスポーツを何の料理で表現するか?」と考えるところが、今回最初に難しかった点です。ひとつひとつ「カレンダー企画委員会」のメンバーで知恵を出していきました。

たとえば「あつあつ卵焼き返し」では柔道を表しているのですが、「日本のたまご料理の代表格、上手く返すには熟練の技あり。美味しい一本出来上がり」という文章で、柔道の背負い投げで一本とる技と、料理人がうまく卵焼きを返す技をかけています。
背景に畳をさりげなく敷いていることも、ヒントになっていますね。各作品、背景にも色々工夫をしています。

「緊張のにぎり寿司」では、寿司を8貫用意し「これで陸上競技100mのスタートの緊迫感を出して欲しい!」と、カメラマンへの無茶振りで、作品になったものもあります。寿司が各国選手のクラウチングスタートに見えてきませんか?いわさきには、料理写真を撮影している専属のフードカメラマンが社内にいるのですが、こんな無茶なリクエストにもしっかり応えてくれました。

スケートボードを表した「ビッグスピン炒飯」や、カヌースラロームを表現した「急流流しそうめん」などでは、動きの早さを見せる食品サンプルの技術の高さも見所になっています。

ちなみに、競技とコラボした12カ月分の食品サンプルたちは以下のラインナップ。

・スケートボード「ビッグスピン炒飯」
・フェンシング「一瞬のスキ突くBBQ」
・レスリング「ローストチキン肉弾戦」
・競泳「トビウオの超イケ造り」
・飛び込み「カラリと揚がる天ぷら」
・陸上競技100m「緊張のにぎり寿司」
・柔道「あつあつ卵焼き返し」

・ウエイトリフティング「極厚ポンドステーキ」
・テニス「スマッシュワッフル」
・カヌースラローム「急流流しそうめん」
・スポーツクライミング「そびえ立つ甘いチョコ」
・新体操リボン「華麗に舞うパスタ」

ワッフルをラケットに見立てた「スマッシュワッフル」は、紅茶をそっと添えることで、テニスが英国発祥のスポーツであることを表現するなど、気付けば思わず「なるほど!」と言いたくなる“小ネタ”も効いている。

ちなみに、食品サンプルづくりには本物の食材で型を取る工程がかかせないそうだが、「トビウオの超イケ造り」で使った丸物の生のトビウオは、いわさき本社のある大阪では入手が難しく、困ったという場面も。
「社員に鹿児島の屋久島出身のメンバーがおり、実家に連絡を取ってもらったところ、漁港に活きの良いトビウオが売られているということで、空輸してもらって型をとることができた」そうだ。

――twitterでの反響に、感想は…

twitterでは、「このスポーツがこう来たか!」とか「美味しそうで食べたくなる!」などのコメントをいただいています。シリーズ作品をお楽しみいただけているのではないでしょうか。

今回はコロナ禍での、オリンピック・パラリンピック開催という、困難な状況ですが、選手の頑張りや活躍には世界中が元気をもらっています。いわさきとしては、食品サンプルの表現で、楽しく、クスッと笑って、少しでも気持ちが明るくなっていただけたらという思いを込めています。

食品サンプルは日本生まれ日本育ち。お店の料理の美味しさを伝えることに特化したリアルな再現技術は、世界に比類を見ない販促物です。また、日本を訪れる海外のお客様は、みなさんそのリアルさと、言葉を超えた分かりやすさに驚かれると聞いています。

日本の方には見慣れて身近な存在ですが、改めて、その面白さや、美味しさにこだわる技術を感じて、日本の誇るべき文化のひとつと思っていただけたら嬉しいです。

思わず笑顔になる今回の「食品サンプル」写真にはこだわりと技術がたっぷり詰まっていた。