国に帰りたいのに、帰れない…。新型コロナウイルスは、来日した外国人にも大きな影響を与えている。

ソロモン諸島から日本に嫁いだ娘の最期を看取るため、来日した外国人の親子。コロナの影響で1年以上も日本に足止めされている。ソロモン諸島が示した帰国の条件は、ワクチン接種だった。

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6月12日、ソロモン諸島から来た外国人の親子が、愛知・豊橋市の保健所で念願のワクチン接種を受けた。接種したのは高齢者用ワクチンの当日キャンセル分。本来は対象外だが、人道的な立場に立っての特例措置だった。

愛知・豊橋市に住む白藤謙一さん(44)一家。

白藤さん:
ここにいるのが妻のお母さんにあたるイザベルです。こちらが妻のお兄ちゃんにあたるバナバスです。私の妻のシンデレラで、昨年(2020年)の5月4日に子宮頸がんが原因で他界しました

白藤さんは2020年5月、ソロモン諸島から迎えた妻のシンデレラさんを34歳の若さで亡くした。

シンデレラさんの故郷・ソロモン諸島は、日本から南へ約5000キロメートル離れた南太平洋に浮かぶ島々。

故郷で暮らす母のイザベルさんと兄のバナバスさんは2020年2月、シンデレラさんの余命が短いと知らされ急遽、来日。シンデレラさんの最期を看取った。

しかし、帰国しようとした親子に思わぬ壁が立ちはだかった。ソロモン諸島政府は2020年2月に日本を新型コロナの危険国に指定。帰国の条件として示されたのは「ワクチンの接種」だった。

白藤さん:
日本人のワクチンの接種が終わるのが多分今年(2021年)中くらいかかるということだったので、また今年も帰れないんじゃないかなって

慣れない異国での長期滞在。2人は白藤さんの知人の農園を手伝うなどして過ごしてきた。

イザベルさん:
とても長い間この場所にいたから、ふるさとのソロモンに帰りたい

ビザの更新を繰り返し、気が付けば滞在期間は1年4か月にもなっていた。そんな二人に朗報が飛び込んだ。

大村愛知県知事:
人道的な観点から、早速ですね、2人のご希望・考え方をお聞きしたうえで、ワクチン接種を受けたいというご要望があれば打っていただくと

愛知県の大村知事はキャンセル分の活用を打ち出し、接種を担う豊橋市も協力をすることになった。

12日、豊橋市保健所では1050人分の予約のうち4人分のキャンセルが発生。思わぬ形で実現したワクチン接種。イザベルさんとバナバスさん、故郷へ向けた大きな一歩だった。

バナバスさん:
ワクチンを打って、ソロモン諸島に帰国できる可能性が高まったのでうれしい

イザベルさん:
きょうワクチンを打てて良かったです。ありがとうございます

シンデレラさんが亡くなってから1年4か月…。二人の2回目の接種は7月初旬に予定されていて、その後は帰国に向けた準備を進めることになっている。

(東海テレビ)

東海テレビ
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