どうしてかみ合わないんだろう?

3年前に当時の安倍首相と立憲民主党の枝野代表が声をそろえて「歴史的使命は終えた」と断じた党首討論。

安倍政権の時から野党側は「話がかみ合わない」と言っていたが、菅政権はどうやらそれ以上のようで、先日の予算委では蓮舫さんが「どうしてかみ合わないんだろう?」と泣きそうな声で自問していたのがおかしかった。

時にはムキになって反論をした安倍さんに比べ菅さんは官僚や秘書官が用意した答弁を淡々と繰り返す傾向があり、野党側はイライラしているようだ。

今日もかみ合わなかった

今日の討論でもコロナについて枝野氏が、早すぎる緊急事態の解除がリバウンドを招くと、持論の「ゼロコロナ」を主張したのに対し、菅氏は「世界中でロックダウンしているが収束できなかった」と反論した上で、「ワクチンこそ切り札だ。昨日は100万人が打った」と局面が変わったことを強調した。

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東京五輪についても枝野氏が「最大のリスクは五輪開催による感染拡大だ」と中止を求めたのに対し、菅氏は「国民の命を守れないならやらないのは当然」と答えただけで、その後は話を変え、57年前の東京五輪を高校生の自分が見て、東洋の魔女の回転レシーブや柔道のヘーシンクの立派な態度などに感動し、これを今の子どもたちにも見てほしいと語った。

この後段の部分を枝野氏は気に入らなかったようで「後段の話はここではふさわしくない」とわざわざ反論していた。うーむ、かみあわないね。

ガンバレ野党?

二大政党制が崩れ、再び事実上の自民党の一党支配に戻ってしまったために、与党側は野党の言うことなど聞かないし、野党は政権批判に徹するという形になってしまえばいくら党首討論をしても話がかみ合わないのは当たり前だ。

これを解決する方法は一つしかない。野党が政権獲得の実現可能になるくらい強くなることだ。そうすればまず自分たちの政策がまず現実的になるし、与党側も話を聞かざるを得なくなる。

そう考えていたら一番最後に枝野氏が「この危機を乗り切るビジョンも準備も私にはある。政権を変えるしかないと確信した」と捨て台詞を吐いた。

ほう!政権を取る気があるのか。それはいいことだ。だがそのためにはまず共産党との関係をもう少し「クール」にして、国民民主など旧民主の保守系を呼び戻すことだ。遠回りだが枝野氏が政権を取るにはその道しかないと思う。ただその時は党首は枝野氏ではないだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。