日差しが差し込むひまわり畑で寄り添う、おばあさんと一匹の柴犬。映画のワンシーンのような写真がTwitterに投稿され、感動を呼んでいる。

撮影者は写真撮影を趣味とする、岡山県在住のYASUTO(@yasuto8888)さん。

被写体は、YASUTOさんのおばあちゃんと愛犬の柴犬・福ちゃん(オス・5歳)。写真はひまわりが咲き誇る中で顔を寄せ合っていて、優しさや愛おしさを感じさせる1枚だ。

写真からは優しさや愛おしさが伝わってくる
写真からは優しさや愛おしさが伝わってくる
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投稿にはおばあちゃんの優しさと ワンチャンの優しさが溢れ出てますね 心がポカポカだぁ…」「とっても素敵な写真ですね!涙が溢れて止まりません」などのコメントが寄せられ、13万以上のいいねを集めている。(6月7日現在)

YASUTOさんは写真好きだったおじいちゃんの死をきっかけに、おばあちゃんを主役とした写真を地元で撮影する“祖母グラフィー”という活動をしていて、編集部でも過去に取り上げている。

(参考記事:「これいいなー」おばあちゃん本人も絶賛!孫が撮る“祖母グラフィー”にほっこり

岡山県和気町の藤公園で撮影した一枚
岡山県和気町の藤公園で撮影した一枚

話題となった投稿もこの一つだが、今回のシチェーションにはどんなメッセージが込められているのだろう。前回の取材以降、どんな作品が生まれているのだろうか。YASUTOさんに聞いた。

ひざの上で居眠り…ふたりは仲良し

ーー今回の写真はいつどこで撮影したの?

2020年8月下旬、岡山県の「笠岡ベイファーム」という場所で撮影したものです。ここは季節ごとに色んな花を咲かせてくれます。僕は四季折々が輝くときに撮影をすることが多く、この時は「ヒマワリがきれいなので行ってみようか」と出かけました。

笠岡ベイファームでの作品
笠岡ベイファームでの作品

ーーシチェーションにはどんな思いを込めている?

僕の写真全般ですが、一期一会の瞬間を大切にしたいという思いがあります。当日は約1100枚を撮影しましたが、夕方の優しい雰囲気が伝わるベストショットだと思います。おばあちゃんも喜んでくれました。プリントしてプレゼントしたところ、部屋に飾ってくれています。


ーーおばあちゃんと福ちゃんは仲良しなの?

仲良しですね。普段は別々の場所に住んでいますが、遊びに来たおばあちゃんがソファーに座ると、福ちゃんはひざの上にあごを乗せて眠りだすんです。車でどこかに移動するときも同じですね。忠誠心がすごいので、福ちゃんはおばあちゃんを家族だと思っているのでしょう。

おばあちゃんのひざの上に乗る福ちゃん…そしてグッスリ
おばあちゃんのひざの上に乗る福ちゃん…そしてグッスリ

写真を残さずに後悔してほしくない

ーー写真の撮影と投稿を続けているのはなぜ?

僕のおじいちゃんはポートレートの撮影が好きでしたが、亡くなったときの遺影が自分で撮影したものだったんです。そのときに、過去の姿も1枚を撮影できていなかったことにショックを受けて「おばあちゃんの遺影は残したい」と思ったのがきっかけです。

Twitterへの投稿は、人々が家族を撮影するきっかけになればと行っています。今はカメラを持っている人も多いので、自分のように家族の写真を残さずに後悔してほしくないのです。すべてが一期一会なので、その瞬間を大切にできればと思います。


ーー前回の取材では藤公園の写真が大切な1枚とのことだったが?

藤公園の写真以上のものは出ていないですね。今はコロナ禍なので撮影も難しいです。ただ、2020年4月9日に投稿した、駅跡地の写真はいいなと思いました。片上鉄道・苦木駅という場所の跡地で、おばあちゃんは昔の乗客だったそうです。撮影時は当時の話もしてくれました。

その前日の2020年4月8日に投稿した写真もお気に入りです。こちらは名もない、通りがかったときに見つけた場所なのですが、夕方の光や福ちゃんの後ろ姿をうまく撮影できました。

苦木駅跡地(左)と名もなき場所での一枚
苦木駅跡地(左)と名もなき場所での一枚

ーー撮影時に心がけていることはある?

自然にリラックスしてもらうことですね。表情などはお願いしているわけではないので、現場で感じたままを撮影しています。僕はおばあちゃんの写真以外にも、宮古島などに一人旅をし、現地で出会った人を撮影することもあります。そのときは写真を通じていかに思い出を残せるのか、コミュニケーションを大事にしていますね。

「良い写真は形にして残してほしい」

ーー写真を通じて人々に伝えたいことはある?

良い写真は形にして残してほしいということでしょうか。2021年1月におばあちゃんが米寿を迎えたとき、おじいちゃんが撮影したアルバムを見る機会がありました。おじいちゃんはもういないのに、写真を通じて生き続けているようだと思いました。

このように見返せたのは、写真をプリントして形に残しておいたからだと思います。今は携帯電話で撮影してそのままになりがちですが、一瞬を残せるのが写真です。形として残してほしいですね。僕はそれを宝物と表現しています。


ーーこれからはどんな写真を撮影していきたい?

コロナ禍もありますし、地元の岡山県外だとおばあちゃんに負担をかけてしまいます。おばあちゃんは趣味がパッチワークなので、自宅でのそうした姿を残していくのが今後の目標ですね。負担をかけずに日常を切り取っていければと思います。実は写真に写っているバッグなどは、全部おばあちゃんの手作りです。そこも楽しんでいただけると思います。

自宅での様子と福ちゃんとの一枚
自宅での様子と福ちゃんとの一枚

YASUTOさんの写真が人々を引き付けるのは、家族の優しさ、何気ない日常の大切さを伝えてくれるからかもしれない。皆さんもそこにしかない瞬間を写真に残してみてはいかがだろうか。

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プライムオンライン編集部
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