厚生労働省が公表した2022年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳。過去30年余りで男女ともに5歳以上延伸する中、素敵な歳の重ね方をしている静岡県内のお年寄りを紹介する。
小柄な体に秘められた鋼の筋肉
伊豆の国市に住む鈴木幸宏さん(76)は、“その世界”では鉄人として知られている。
一見すると小柄な体。しかし、ひとたび練習場に入れば軽々とバーベルを持ち上げ、堂々としたたたずまいからは世界王者としての貫禄が感じられる。
この記事の画像(7枚)1988年に世界マスターズウエイトリフティング選手権大会に初出場して以来、優勝を重ねること23回。2000年にはアジア人として初となる殿堂入りも果たしている。
鈴木さんは「優勝して日本の国歌を聞く、そして日の丸が掲揚される瞬間が素直にうれしい。国際大会の表彰台の上で国歌を聞いたのは、もしかしたら私が世界で一番多いかもしれない」と笑う。
ウエイトリフティングで出会って約60年
ウエイトリフティングと出会ったのは学生時代。当時から使い続けている日本製のバーベルが長年の相棒だ。現在は自宅にある練習場で週に2~3回、4時間のトレーニングを続けている。
健康の秘訣は野菜中心の食事を1日3回しっかり食べること。農家だった自宅の周りには、柿やハッサク、ブルーベリーに栗などの木々が茂り、旬の果実も食べ放題だ。
また、時にはスポーツジムにも通って汗を流す。ただ、鈴木さん曰くこれはウエイトリフティングのためではなく、加齢による体の衰えを防ぐためのもので、「日常生活を一通り出来ているのはトレーニングを続けているからこそ。やらなかったと考えるとおそろしい」と話し、トレーナーの渡辺逸生さんも「トレーニングやストレッチも含めて、ここまでストイックにやる人はなかなかいない」と尊敬のまなざしを向ける。
世界を23回制した鉄人といえども76歳。年齢には抗えないが「75歳の時に出場した大会では自分の体重より重い物を持ち上げている。80歳の時に自分の体重と同じウエイトを頭上に持ち上げられたら…それが夢ですね」と大きな目標を掲げる。
再び表彰台で君が代を聞くために。鈴木さんの挑戦に終わりはない。
(テレビ静岡)