新たにインド型確認 全体の85%が変異ウイルス

「流行の主体が感染力の強い変異株、N501Yに置き換わりつつあります」

5月13日に行われた東京都のモニタリング会議で、新規感染者数の7日間平均が前回の768人から840人に増え、増加比は106%から109%と微増傾向にあり、10代から40代が新規感染者の7割を占めていることが示された。

東京都 新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(5月13日)
東京都 新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(5月13日)
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経路別に見ると、連休の影響で施設、職場での感染が減少し、家庭内感染が増えて56.9%となった。

変異ウイルスは新たにインド型が1例確認され、全部で6例に。

N501Yは前回の67.9%から61.2%と割合は減らしたものの、変異ウイルスは全体の85%にのぼっている。

入院患者 4月以降は50代以下の割合増

「変異株は重症化率と死亡率が高いとの報告があり、注意が必要」

東京都医師会の猪口正孝副会長は、重症者数が前回の69人から86人に増えたこと、入院患者を年代別に見ると3月以降は60代以下、4月以降は50代以下の割合が増加傾向にある、との分析とともに強い警戒感を示した。

東京都医師会 猪口正孝副会長
東京都医師会 猪口正孝副会長

繁華街の人出が増加

「今週明けて昼夜とも滞留人口が増え始めています」

緊急事態宣言開始から2週間目までに、繁華街の昼間の人出は約40%、夜の人出は約50%減ったのが、今週に入って増加に転じたという。

「ピークアウトの見通しは未だ不透明」

東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、変異ウイルスの影響で従来より「早く・強く・長く」人出を抑えないと感染者数の減少につながらない可能性もあるとの見方を示した。

4人に1人が「マスクなし」で同居者以外と会話

都は、新型コロナウイルスに感染し自宅やホテルで療養した人にウェブアンケートを実施(2月15日から4月30日の間、10歳未満から70代まで2277人回答)。

発症日直前14日間にマスクを「常に」「ほとんど」着用していたという人が97.6%となる一方で、4人に1人にあたる24.5%が「マスクなしで同居者以外と会話したことがあった」という結果になった。

中でも10代は36.4%、20代は35.3%とさらに高くなっている。

また、飲酒を伴う懇親会等に参加した人は、全体で15.5%。中でも20代から50代の若い世代の男性が多く、2月、3月から4月にかけて増え、2割程度はいわゆる“飲み会”に参加していた。

自覚症状として、65.1%が発熱、57.4%が頭痛、57%が倦怠感があったという。

(イメージ)
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人流減に感染者減が比例せず

「連休中に人流をとても抑えられたのに、感染者数の減り方がそれに比例していない」

ある都の関係者は、今週末から来週の感染者数が「横ばい」か「上昇か」を注視しているという。

横ばいなら減少傾向に入っていく可能性もあるが、上昇だと対策の強化を検討しなければならなくなる、とも。しかし、現状で都が“要請できること”はイベントを無観客にすることぐらいだが…。

「新たな対策をすぐ出すのは難しい」

対策が何度も変更される中で、担当者らからは悲鳴のような声もあがっている。

宣言解除できるとは思えない

「5月31日に緊急事態宣言を解除できるとはちょっと思えない」

「感染者がたいして減ってない中で宣言解除となったら、目も当てられないことになるんじゃないか」

都の関係者らからは、月末の宣言解除を危ぶむ声も聞こえてくる。

「オリパラをやる気なら、少なくとも7月上旬まで宣言継続しないと」

専門家の間ではこのうような見方も出ているという。

「逆に宣言がなかった時にどうなっているのかも、考えたいと思います」

緊急事態宣言の効果を記者から問われた小池知事は、変異ウイルスの「未知の部分」を強調し、変異ウイルスの感染力の強さを「1つのファクト」と述べた。小池知事の頭の中には、大阪の姿が浮かんだのかもしれない。

マスクは不織布で

「マスクは不織布が望ましい」

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、会議の中でマスクの素材についてウレタンや布ではなく不織布を推奨。

「普段マスクをしているけれども、ちょっとしたところで、会話や食事などを挟むことによってあっという間に感染してしまう」

小池知事は、少しの緩みが感染につながると指摘した。

つまるところ結局ワクチン

「コロナは本当に嫌なやつです。そういう嫌なやつと戦うためには、徹底してマスクや手洗いなど改めてよろしくお願いいたします」

小池知事は改めて基本的な対策の徹底を求めつつ、次のように述べた。

「つまるところですね、結局ワクチンなんですね」

ワクチン接種のスピードと感染力の強さ、そのせめぎ合いが続く。

(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。