支持率が4割を切ると政権は危険水域

しばらく「低め安定」だった菅内閣の支持率が再び下落した。先週末にはNHK、TBS、読売新聞が世論調査を行ったのだが、特にNHKは4割を切って35%となり、2020年9月の内閣発足以来最低となった。支持率が4割を切るとその政権は危ない。

菅内閣が不人気の理由はコロナ対策に対する国民の不満である。飲み屋で一人で黙って飲むのもダメとか、公園に入るなとか、寄席が閉まって、やっと開いたと思ったら映画館はなぜか閉まったままとか。僕も政府の対応に相当ムカついている。「菅政権はレームダック」という声も聞かれるほどである。菅さんはおろされないのだろうか。

支持率が4割を切るとその政権は危ない
この記事の画像(5枚)

菅おろしをできるのはあの人だけ

しかし野党第一党、立憲民主党の枝野代表は10日、「現状では内閣不信任決議案は提出できない」と明言した。会期を1カ月も残してるのにまた随分早いなと思ったが、今はコロナに専念すべきという建前は置いといて、政党支持率が自民35%-立民5%では解散総選挙になっても勝負にならないだろう。

枝野氏は以前の会見で菅首相に退陣を求め、だが解散総選挙はせずに立憲民主党を少数与党とする枝野内閣を立ち上げたいという意味不明のことを主張していたが、議院内閣制の民主国家でそんなことあり得ないよ!政権は国民が選挙で選ぶものだ。枝野さんが勝手に決めてはいけません。

「なぜ根拠なき楽観論に立てるのか?」と菅首相を追及する立憲民主党の枝野代表(5月10日)

ということで野党による菅おろしはどうやら無理なようだ。では自民党内ではどうだろう。確かに党内にも菅首相のやり方に不満を持つ人たちは沢山いる。だが菅氏をおろして岸田、河野、小泉、あるいは石破の各氏に差し替えようという動きはほぼ皆無である。

党内で唯一、菅さんをおろせるとしたら安倍前首相しかいないだろう。安倍再登板である。ただ安倍さんは菅さんをおろさない。麻生さんあたりが「安倍ちゃん、もう一回やってみねえか」と言うかもしれないが安倍さんは固辞すると思う。これはまあ義理と人情の世界である。

つまり菅さんをおろす人は与野党どこにもいない。

党内で唯一、菅首相をおろせるのはこの人

ワクチンは日本でも効いている?

ところで先日、友人の医師から興味深い話を聞いた。彼の働く大型病院で4月末にコロナのクラスターが発生したのだが、患者、職員にPCR検査をしたところ、ワクチン未接種だった一人の新人医師を除き、ワクチン接種済みの医師、看護師に感染者は出なかったというのだ。

ワクチン接種は4月の第1週に2回目が終わっていたので、抗体はできていたと考えられる。つまりこれは日本でもコロナワクチンが効いているという兆候ではないか。

彼は、以前より感染予防がうまくなったという面もあるが、他の病院でも接種後は医師看護師の感染が減っている印象であり、「ワクチンがゲームチェンジャーになるという実感が出てきた」と言っていた。

高齢者へのワクチン接種は連休明けにようやく本格化した。日本の組織は何かを始めるまでにはえらく時間がかかるが、いざ始まるときっちりとやるので、目標の7月末までには全部とはいかなくても相当数の接種が進み、「ワクチンが効いた!」という兆候が出てくるだろう。

新型コロナウイルスワクチン全国接種回数の推移

問題は五輪である。阪大の宮坂名誉教授は「ワクチンで感染が止まるのは今年後半」と5月11日の日本記者クラブの会見で予測したが、7月23日の東京五輪開幕までに感染は止まらなくても「ワクチン効果の兆候」があちこちで出て、国民に安心感が広がれば五輪は開催できると思う。

つまり菅さんはおろされる心配はないので、何とか五輪までに高齢者にワクチンを打ち終わり、それまでの間は、場当たり的といくら批判されようが、不人気になろうが、感染爆発と医療崩壊を防ぐためにあらゆる手を打ち、ブレーキとアクセルを交互に踏み続けるしかないのだろう。不自由な生活はもう少し続きそうだ。

(関連記事:新型コロナウイルス特設ページ:データで見るワクチン接種

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】