島根県内で最小となるわずか316グラムで生まれた赤ちゃん。命の危機を乗り越えすくすくと成長。6歳となり、12日に入学式を迎えた。
母の体に突然異変…わずか316グラムで誕生
ピカピカのランドセルを背負うのは、島根・隠岐の島町に住む、高井結葵ちゃん(6)。12日から西郷小学校の1年生。
この記事の画像(17枚)2014年10月14日生まれの結葵ちゃんは、島根県内で最も小さいわずか316グラムで生まれた。
結葵ちゃん出産の前日、お母さんの体に突然異変が起きた。
母・高井久美さん:
胃と背中が痛くて、寝られなかったんですよ…2日くらい寝られなくて。このままだとつらいと思って病院に行った
隠岐病院の救急外来へ。
隠岐病院 産婦人科・加藤一朗医師:
検査をしたところ、ちょっとこれは母子ともに命にかかわる状態だと判断した
本来ならすぐに本土の病院に搬送されるはずが、その日は台風が接近していたためヘリが飛べなかった。翌日、ドクターヘリで出雲市の島根県立中央病院に搬送。帝王切開で通常より3カ月ほど早い、妊娠24週での出産となった。
生まれてきた結葵ちゃんの体重は、わずか316グラム。
病院では、小さな手首に点滴の針を刺して、チューブで口から母乳を入れるなどの治療が施された。
母・高井久美さん:
「最初3日が山だ」と担当医から言われて。致死率が60%。だからどうなるかわからないよという状態だった
「チャレンジすることを大事に」…成長する姿は希望の光
1,000グラム未満で生まれた超低出生体重児の救命率は、1960年代は10%未満だったが、科学の進歩などで今では80%を超えている。
結葵ちゃんも命の危機を乗り越え、体重は5カ月後、3,300グラムに増え、無事退院できた。
母・高井久美さん:
皆さん成長を喜んでくれるし、大きくなったねと声をかけてくれるし、本当に皆さんに育てられているなという感じはある
結葵ちゃんが3歳になるころには弟が誕生。ミルクを飲ませるなど世話をしてくれていたという。
父・高井健一さん:
生まれたのは小さかったけど、だからと言って甘やかすとか…普通に生まれた子と同じような感覚で僕は接しようと思っている
母・高井久美さん:
みんなより走ることが遅いということがあっても(保育園の先生から)「勝ち負けじゃないよ、諦めないことが大事だよ」と言ってもらって、チャレンジすることを大事にしている
小さく生まれた赤ちゃんや両親にとって、希望の光になっているという。
隠岐病院 産婦人科・加藤一朗医師:
小さく生まれて無事に小学校に入ったので、これが今後、小さく生まれた赤ちゃん、そして、心配する家族の皆さんの希望になるよう願っています
ダンスや絵が大好き…夢は「警察官」
結葵ちゃんは、超低出生体重児に多くみられる未熟児網膜症で弱視があるが、日常生活に支障はない。ダンスをしたり、絵を描くのが大好きな女の子に成長している。
ーー学校でやりたいことは?
高井結葵ちゃん:
勉強頑張りたい
ーー大人になったら何になるの?
高井結葵ちゃん:
警察官
離島で紡がれた小さな命。
新たな1歩を踏み出した。
(TSKさんいん中央テレビ)