40年余の歴史に幕…山陰の“食パン電車”がラストラン

鳥取県西部から島根県東部の山陰線、伯備線で40年以上に渡って住民の足として活躍してきたJR115系電車が、3月13日にラストランを迎えた。
“食パン電車”の愛称で親しまれてきた名車が、昭和・平成・令和の3つの時代を駆け抜け、ついに山陰の鉄路から姿を消すことになった。

山陰の通勤・通学を支えた独特デザインの車両

115系電車の最大の特徴は、その独特な前面デザインにある。
3両編成の中間車両を改造して運転席を取り付けたため、平らで四角い前面となった。この特徴的な形状が食パンに似ていることから、“食パン電車”として沿線住民や鉄道ファンから愛され続けてきた。

1982年の伯備線と山陰線の一部電化に合わせて導入された115系は、それ以来40年以上に渡って「通勤・通学の足」として地域を支えてきた。

米子駅のホームで115系を撮影する鉄道ファン
米子駅のホームで115系を撮影する鉄道ファン
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米子駅にあふれた別れの声…「ありがとう」のメッセージボードも

ラストランの日、米子駅のホームには大勢の鉄道ファンが詰めかけ、最後の雄姿をカメラに収めた。

「乗りに来ました。やっぱりラストランというのが悲しくて途中、泣きました。長年ありがとうと言いたいです」と、感極まった鉄道ファンの声が聞かれた。

一方、日南町の伯備線・生山駅では、利用客や地域住民から“食パン電車”の引退を惜しむメッセージが寄せられた。

日南町役場の荒金太郎さんは「本当にまずはありがとう、そしてお疲れさまという気持ちを町民の皆さんや生山駅を利用される皆さんとともに感謝を伝えたい」と話し、メッセージボードを設置した。
このボードは3月末まで置かれる予定だ。

黄色い115系のイラストと桜の花を描いたメッセージボード
黄色い115系のイラストと桜の花を描いたメッセージボード

駅売店も“最後の感謝”を形に 特別仕様の「吾左衛門鮓」

別れを惜しむのは駅の売店でも同様だった。
米子駅の名物「吾左衛門鮓(ござえもんずし)」は、ラストラン記念のスペシャルパッケージを用意。
駅員が撮影したという写真に「ありがとう115系」のメッセージが添えられた特別仕様となった。

購入した鉄道ファンは「記念ですね、この懸け紙も記念に取っておこうと思います。大好きな車両でなくなるのがさみしい」と語った。

米吾の香田千瑞さんは「115系電車が、すごく愛されているというのを感じています。115系の思い出をかみしめながら『吾左衛門鮓』を食べてもらえたら」と話していた。

米子駅で販売された復刻版・吾左衛門鮓
米子駅で販売された復刻版・吾左衛門鮓

227系「Urara」へ静かにバトン…感謝に包まれた115系の最終章

3月14日からは、新型車両227系「Urara」が115系の後継として運行を開始した。
115系は13日の運行を終えると順次廃車になるという。

米子駅の槙拓男駅長は「本当に多くの方に愛された車だったと思う。よくぞ最後まで走り切ってくれたなと私からも感謝とねぎらいの言葉をかけてあげたい」と、長年の功労をねぎらった。

昭和・平成・令和という3つの時代を走り抜けた「旧国鉄」の名車がまたひとつ、山陰の鉄路から姿を消した。
40年以上に渡って地域住民の生活を支え続けた“食パン電車”の思い出は、多くの人々の心の中に永遠に刻まれることだろう。

米子駅・槙拓男駅長
米子駅・槙拓男駅長
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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