4月15日に迫った期限
2020年分の所得税の確定申告の期限がいよいよ3日後に迫った。
確定申告とは、前の年に収入があった人が所得や納税の額を計算して「確定」させ、税務署に「申告」して税金を納めたり、すでに納めた税金が多すぎたり少なすぎたりした場合精算する手続きのことだ。
2020年分の申告期限は当初3月15日だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、会場の混雑回避の徹底のため、1カ月延長され4月15日までとなっている。
副業を始めたサラリーマンは要注意
個人で事業を営んでいたり、フリーランスで働いたりしていて一定の所得がある人は、原則確定申告を行う必要がでてくる。
サラリーマンの場合は、通常は勤務先が毎月の給与やボーナスを支払うときに所得税をあらかじめ差し引いているうえに、年末に調整して精算しているので確定申告をしなくていいという人も多い。
しかし、在宅勤務が増えるなか収入減を補うため、サラリーマンとして働く傍ら副業を始めるという人も増えてきた。そうした人は要注意だ。
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本業が休みの日や空いている時間に、たとえばネット上でのブログ記事の執筆や、料理の宅配サービスの仕事を受けて報酬をもらっていたというような場合、申告をして税金を払わないといけないケースがある。
ポイントとなるのは、副業の「収入」から「必要経費」を差し引いた「所得」がいくらになるかだ。
副業の「所得」が20万円超えると要申告
副業として、宅配サービスの仕事を請け負ったサラリーマンAさんを例に考えてみたい。
この仕事で年間50万円の報酬を得たAさんは、その収入すべてに税金がかかるわけではない。自転車など必要な物品を業務専用として購入していた場合、それらが「必要経費」とみなされれば、収入から差し引いたうえで税金が計算される。
携帯電話の料金などで、副業で使った部分とそれ以外の部分があるときは、使った時間などで按分し副業での使用分を必要経費として計上する。
収入から必要経費分を差し引いたのが「所得」で、副業などで得た所得が20万円を超えると、確定申告の対象となる。Aさんの場合、50万円から必要経費を引いた額が20万円を上回れば確定申告をしなければならない。
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年間10万円超の医療費で税が軽減
申告をすると「払いすぎた」税金が戻って来る場合もある。代表的なものが「医療費控除」だ。
1年間に支払った医療費が、保険金などでの補てん分を除いて、10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合適用される。
対象となる医療費には、診察・治療費のほか、医薬品の代金や通院のための交通費なども含まれ、生計を同じくする家族の分も合算できる。
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新型コロナでPCR検査を受けたケースでは、医師の判断で受けた場合の検査費は対象、単に感染していないことを確認するために自分の判断で受けた場合は対象外だ。ただし、検査の結果「陽性」とわかり治療を行ったときは対象となる。
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市販薬購入による減税のしくみも
全国の病院がコロナの患者への対応に追われるなか、医療機関を受診せずに、市販薬を活用したという人も多いかもしれないが、ドラッグストアなどで買える医薬品で減税のメリットを受けられる別のしくみもある。
「セルフメディケーション税制」というこの制度は、その名のとおり自分の健康は自分で管理しようという取り組みを目指すものだ。
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通常の「医療費控除」が、年間医療費が10万円を超えることなどが条件なのに対し、こちらは、特定の医薬品を購入した金額が1万2000円を上回れば該当する。
対象となる薬は「スイッチOTC医薬品」と呼ばれるものだ。もともと医師の処方がなければ買えなかった医療用医薬品を「転用(スイッチ)」して薬局の「カウンター越しに(Over The Counter)」買えるようにしたという意味で名称がついていて、店頭で広く見られるようになった。
現在2350品目ほどあるが、パッケージには、原則、「セルフメディケーション 税控除対象」というようなマークが記され、一目でわかるようになっているほか、購入した場合、レシートにも対象だということが表示されるのが通例だ。
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職場の健康診断や自治体のがん検診を受けるなど、病気の予防に努めていることが条件となっているほか、通常の医療費控除との併用はできないので、両方適用できる場合はどちらかを選ばなくてはならない。
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新型コロナの影響でイベントの中止も相次いでいる。出演者や関係者を応援するためあえてチケット代の払い戻しを受けなかったというような場合、寄付をしたという扱いになり、税金が軽減されるケースもある。
対象となるイベントは文化庁などが公表しているが、減税を適用してもらうには主催者から証明書を入手しておく必要がある。
税のしくみを上手に活用して申告を
申告書の提出方法では、書面で出す以外にオンラインで申告を行うやり方もある。マイナンバーカードを使うなどしてサイト上で入力していけば、申告書の作成から送信まで手続きが完結するというもので、国税庁はこの方法の利用を呼びかけている。
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感染拡大が働き方や暮らしにさまざまな影響を及ぼすなか、税のしくみや申告のシステムを上手に活用して、手続きをスムーズに済ませたいところだ。
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【執筆:フジテレビ解説委員 サーティファイド ファイナンシャル プランナー(CFP) 智田裕一】