震災10年の特別企画「未来につなぐ」、空から見る被災地。
岩手めんこいテレビ・井上智晶アナウンサーが、岩手・山田町から北の地域の変化をリポート。

壊滅的な被害を受けた山田町

記者リポート:(2011年震災直後 ヘリコプターから山田町上空)
火事があったのでしょうか。外壁が少し黒くなってしまっています。この住宅以外ほぼ周りには、おそらく住宅は建っていたでしょうが、すべて何もなくなってしまっています

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震災の津波とその後の火災によって、壊滅的な被害を受けた山田町の中心市街地。
3,000棟以上の住宅が被災したほか、カキ養殖などの水産業にも大きな爪痕を残した。

養殖などの被害
養殖などの被害

井上智晶アナウンサー:
駅を中心とした街づくりが行われ、周辺には災害公営住宅や様々な商店が建ちました。賑わいが戻りつつあります

コンパクトな街づくりが行われた中心市街地。
駅周辺の復興拠点整備事業で設けられた商業用地は、ほぼ100%利用されている。

一方、かさ上げされた住宅用地は利用率が55%にとどまっていて、課題となっている。

震災で約4,000棟の住宅が被災した宮古市。
街は津波で流された船や住宅、多くのがれきで覆われていた。

あれから10年。
古くから漁業や水産加工業で栄えた鍬ヶ崎地区では新たな津波対策が取られた。

井上智晶アナウンサー:
10.4メートルの防潮堤が新しく建てられました。震災前にはなかった防潮堤です

港を囲むように垂直の防潮堤が造られた。
一方で、工事が遅れている場所もある。閉伊川の河口に整備される水門。
工事は2014年から始まったが、震災5年後の2016年でも、まだ本体の姿は見えていなかった。

井上智晶アナウンサー:
当初は2015年度の完成を予定していた閉伊川水門の工事は、延期を繰り返し、2026年度にずれ込む見通しです。予算も70億円から400億円に膨らんでいます。現在、水門の半分ほど形ができつつありますが、完成にはまだまだ時間がかかります

日本海溝沿いの地震による津波も想定されるなか、不安な状況が続いてしまっている。

14.7メートルの巨大防波堤

記者リポート:(2011年震災直後 ヘリコプターから宮古市田老地区上空)
10メートルの防潮堤を津波は超えて、防潮堤の内側の街を飲み込みました

万里の長城ともいわれた巨大な二重の防潮堤を整備していた田老地区だったが、市内で最も大きな被害が出た。

井上智晶アナウンサー:
田老地区は震災前と同じ二重の防潮堤によって町が守られていますが、特に新しく建てられた外側の防潮堤は高さが14.7メートルと巨大です

二重の防潮堤のうち津波で破壊された外側の防潮堤については、震災前より5メートルほど高くする工事が続いていて、3月完成予定。

井上智晶アナウンサー:
震災後、山を削って造成された高台の住宅団地には震災からまもなく10年、空き地はほとんどなく家が建っています。一方、かさ上げ地は道の駅以外はまだ空き地が目立ちます

岩泉町では、200棟の住宅が流された小本地区で新たな街づくりが進められてきた。

井上智晶アナウンサー:
岩泉町の小本地区でも駅を中心としたコンパクトな街づくりが行われました。駅の周りを囲むようにたくさんの家が再建されています

被災した人たちの住宅は浸水区域の外へと移転。
また、津波で校舎が浸水した小本小学校と中学校も移転し、2016年から新しい校舎で授業が行われている。

まもなく完成する東北の大動脈

270棟の住宅が被災した田野畑村。
最も大きな被害を受けた島越地区では三陸鉄道の区間で唯一駅舎が流出したが、2014年に再建された。

井上智晶アナウンサー:
津波で壊滅的な被害を受けた島越地区ですが、島越駅が再建され、そしてあたりには公園もできています

そして被災地ではこの10年で新たな東北の大動脈、三陸沿岸道路の整備が進められてきた。

井上智晶アナウンサー:
県内のおよそ8割が開通していて交通に大きな変化をもたらしています

大部分が3月末までに完成し、最後に残る野田村と普代村を結ぶ区間も2021年内に開通する予定。

(岩手めんこいテレビ)

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