「奴隷のよう」「類を見ない悪質さ」
2019年10月に起きた高畑瑠美さん(当時36)暴行死事件で、傷害致死などの罪に問われている山本美幸被告(42)と岸颯被告(25)の裁判員裁判。

2月19日、福岡地裁で論告求刑公判が開かれ、検察側は「家族から引き離され、奴隷のように扱われ、人としての尊厳を奪った」、「傷害致死事案の中でも類を見ない悪質さ」として、山本被告に懲役23年、岸被告に懲役16年などを求刑した。

起訴状などによると、山本被告と岸被告は、2019年9月下旬頃から約1カ月にわたり、瑠美さんを福岡・太宰府市で監禁し、ナイフを突き刺したり木刀で殴ったりして死亡させたとされている。

裁判で両被告は一貫して無罪を主張。
互いに罪をなすりつけ合う場面もあった。
ーー2月9日、岸被告の被告人質問
弁護士:
暴行したのは?
岸颯被告:
当然、山本さんです。山本さんが暴力団とつながりがあると信じていたので報復が怖かった

ーー2月12日、山本被告の被告人質問
山本美幸被告:
岸さんが(瑠美さんを)踏んだり、蹴って殴って、そのあと木刀でお尻を20、30回殴っていた

一方、検察側は、山本被告は瑠美さんをホストクラブに通い続けるように仕向け、総額6000万円以上の借用書を作成したと説明。
さらに、瑠美さんを服従させるため、岸被告と凄惨な暴行を繰り返していたと指摘した。
また検察側は、事件発生2日前の2019年10月18日に、福岡市の中洲のバーで瑠美さんが暴行される動画2本も提出。
法廷で映像を見た裁判員が目を背ける場面もあった。
泣きながら無罪を訴える山本被告に、岸被告は…
最終の意見陳述で、山本被告は泣きながら鼻水をすすり、無罪を訴えた。
ーー2月19日、山本被告・岸被告の最終意見陳述
山本美幸被告:
正直、謝ることしかできない。岸君を止められなかった。私じゃ止められないんです。謝ることしかできない。申し訳ございませんでした

山本被告の"涙の訴え”を聞いていた岸被告。
担当弁護士の方を向き、あきれた表情を見せていた。
山本被告の意見陳述はさらに続く。
山本美幸被告:
ごめんなさい。本当に申し訳ございませんでした。瑠美ちゃんをこんな目に合わせて申し訳ありませんでした

次に証言台に立った岸被告は…
岸颯被告:
うーん。とりあえず、山本さんには面倒くさい演技はやめてほしいと言いたい。死体遺棄に関しては、亡くなった状態で運転したのは間違いないので、罪にあたるのあれば償っていこうと思いますし

岸颯被告:
傷害致死に関しまして、暴行行為は一度たりとも加えていない。山本さんを止められなかったこともある。私に責任があるのも分かっていますので、何らかの形で罪を償おうと思います。監禁に関しては、24時間一緒にいたわけではない、見張っていたわけではない。監禁はやっていません。ただ、瑠美さんが亡くなったことに関して、責任は感じていますので、これから償っていこうと思います

法廷には瑠美さんの夫や妹も出廷。「一生この世の中に出てこないような、1番つらい刑罰を望みます」と厳罰を求めた。
検察側の求刑は、山本被告に懲役23年、岸被告に懲役16年など。
証拠や証言を裁判員がどう判断するのか。
判決は3月2日に言い渡される予定。
(テレビ西日本)
【関連記事】
太宰府市主婦暴行死事件(1) 被告に取り込まれ…一家をのみ込んだ脅迫・洗脳 警察も予想外の対応