福岡県議会の蔵内前議長(72)が11月5日、議員辞職後、初となる会見を開いた。新たな告発が続く正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑について、「そのような事実はない」と改めて否定した。
ドン「事態の推移を見守っていた」
「40年以上にわたり県議会議員として活動してきましたので、議員を離れて2カ月以上が経った今でも、県議会のことを思うと様々な思い出が蘇ってきます。あの時、私が身を引くことが県議会の再出発のために必要だったという思いは、今も変わっておりません」

11月5日、午前11時。やや緊張した面持ちで記者会見場に姿を現した蔵内勇夫前議長。冒頭、辞職の表明から2カ月以上経ったこのタイミングでの会見となった理由について語った。
「突然、百条委員会の設置が決まるなど新たな動きが出てまいりました。そのような時期に私がいろいろな発言をしますと、やはりその影響は大きく混乱を招く恐れがあると少し事態の推移を見守ってきた中で、きょうに至ったと」

蔵内氏が議員辞職を表明したのは、2026年8月25日。出張先の東京だった。「後日、福岡でゆっくり報告を行いたいと思っております。以上です」そう言い残して姿を消していた。

あれから2カ月余り。記者クラブの要請でようやく開催された会見は、『1時間半以内』と時間が区切られ、『質問は各社1人のみ冒頭の挨拶部分以外は、会見が終了するまで放送や配信を禁止する』など異例の制限が設けられていた。

「金銭の授受は一切ございません」
蔵内氏は、「何度も申し上げましたが、正・副議長人事に関して金銭の授受は一切ございません」と改めて疑惑を否定した。

吉松源昭県議(58)の告発を発端に明るみとなった議長ポストを巡る金銭授受疑惑。

10月には自民党の樋口明県議(56)が、幹部らの求めに応じ旅費を含むゴルフ代やフランス料理店での食事代およびお車代名目で約700万円を支払ったと証言した。

これに対し、蔵内氏は「(ゴルフ会の)『マスターズ』『蔵内会』には、私は出席してると思います。欠席したことはないと思います。当時、会計をした方がきちっと処理をされておると思っております。それから、フランス料理店複数ございますが、おそらく‟あの店“のことだろうと思います。あの時も私は、お包みを渡したと思っております。

『お車代』については私は知りません」と説明した。
「証言に信憑性はないと思ってる」
更に、かつて副議長を務めた民主系の新村雅彦元県議(74)も「福岡市内の料亭で蔵内氏に、500万円を茶封筒に入れて手渡した」と名指しで証言。

これについても蔵内氏は、「彼の証言は当時彼が所属をしていた政党の、彼自身のお金にまつわる話と関連しているのかもしれませんが、私も含め自民党県議団には無関係な話です。弁護士とも相談しておりますが、彼の県議時代の行いなどもあり、証言に信憑性はないと思っています」と一蹴した。

この答えに記者が「『県議時代の行い』というところなど、もう少し具体的にご説明を」と求めたが、「これは第三者委員会で話すことだと思います。そこでしっかりと私は証言をいたします」とそれ以上の明言は避けた。

「私は嘘をついておりません」
続いて「新村さんの証言を覆すような客観的事実や当時のご自身のスケジュールなどを証明できますか?」との問いに対して、「残念ながら今精査しているところなんですが、15年前ですから、なかなか出てこないんですね。しかし、最後までしっかり調べてみたいと思っております」と笑顔で答えた。

記者も食い下がる。「新村さんが非常に重たいリスクを背負った上で嘘をついて捏造する、こういう動機や理由について思い当たることがあるかないかでお答え下さい」と詰めると、蔵内氏は、「ございます。ただ、あの会見を私も後とから見せていただきましたが、私の表情、表現、動作、あれだけ克明に覚えていらっしゃったと。凄いなぁと思いました。私は、嘘はついておりません」と終止余裕の表情で自らの潔白を主張した。

最後に記者が、「新村さんが嘘をついているのか?」と聞くと、「それはご自身の判断で思ってください。私は嘘をついてないということは、そうでしょう」と蔵内氏は、記者に察するように促して回答を終えた。

「私は名誉を汚されました。でも耐えてます」
蔵内氏の会見の様子を見ていた新村元県議は、憤りを露わにした。

「呆れますね。私たち普通の人間からすると金銭授受で大きな金を渡したというのは、もう一大事件ですから。【中略】それくらいインパクトのある事実なんで、だから覚えてるんであって」
細かくメモを取りながら蔵内氏の発言を聞いていた新村氏。手帳には副議長就任前の2011年に蔵内氏らを沖縄で『ゴルフ接待』したことや翌年4月に蔵内氏に500万円を渡したとする食事会のことを書き残していた。

にもかかわらず蔵内氏が全面否定したことについて新村氏は「そう言わざるをえないんじゃないですか?これまでずっと『金銭授受ありません』と引っ張ってきた訳ですから。ここにきて『いや、それは違った』なんて絶対言えないと本人が思っているんじゃないか。

貰った渡したという水かけ論で終わって、『じゃあ、どっちもどっちよね』みたいな話になっては絶対ならんと思いますんで。うやむやには絶対できないと思います」と‟疑惑“解明への決意を新たにしていた。

約1時間40分にわたった記者会見。蔵内氏は、最後にこう締め括った。

「相手がどういう意図があるかは分かりませんが、私は大変な名誉を汚されました。私の今抱えている役職からすると、とてもではない。でも耐えています。以上です」
(テレビ西日本)

