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高市総理「台湾有事」答弁から1年 北京で聞いた「山下達郎、杏里、大滝詠一」 日中関係冷え込む中で交流続ける音楽ファン|FNNプライムオンライン

高市総理「台湾有事」答弁から1年 北京で聞いた「山下達郎、杏里、大滝詠一」 日中関係冷え込む中で交流続ける音楽ファン

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「山下達郎、杏里、大滝詠一…」
好きなアーティストを尋ねると、中国人の参加者から次々と名前が挙がった。

今年9月、中国・北京の日本大使館で開かれたシティーポップの紹介イベント。会場では1970~80年代の日本の曲がレコードで流され、参加者が聴き入っていた。

レコードで流される曲に中国人参加者が聴き入っていた
レコードで流される曲に中国人参加者が聴き入っていた
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「仕事や生活で、いまの若者はストレスが大きい。こうした音楽を聴くと、とてもリラックスできるんです」
参加した男性は、その魅力をこう話した。

答弁する高市総理(2025年11月7日)
答弁する高市総理(2025年11月7日)

高市総理大臣の台湾有事をめぐる国会答弁から、11月7日で1年を迎える。
中国側の反発は激しく、日中関係の悪化は、外交だけでなく、観光や文化交流にも及んだ。

北京の日本大使館に約150人のシティーポップファンが集まった
北京の日本大使館に約150人のシティーポップファンが集まった

それでも、日本の音楽を聴きたいと思う人たちはいる。会場で見えたのは、政治の対立だけでは捉えきれない隣国の姿だった。

政治の対立が交流の現場にも

政府間の関係が厳しい時こそ、民間交流が重要だと言われる。
しかし、この1年、北京で目の当たりにしたのは、その民間交流もままならない現状だった。

日本への渡航自粛が呼びかけられ、日本のアーティストによる中国公演の中止や、日本映画の上映延期が相次いだ。政治の対立が民間の交流機会を大きく狭める事態となった。

「日本の音楽家を招く公演は、いま中国本土では通常通りに開催できません」

大使館のイベント企画に携わった楊さん 自身もシティーポップファン
大使館のイベント企画に携わった楊さん 自身もシティーポップファン

こう話すのは、日本大使館でのイベントの企画に携わった中国の音楽レーベル「Diggin Express」の楊帆さん。日本の音楽とレコードが好きな仲間とレーベルを立ち上げ、日本のアーティストを招いた公演を手がけてきた。

楊さんによると、シティーポップは中国ではまだ比較的小さなジャンルだが、若者を中心に熱心なファンが多いという。なぜ、自分たちが生まれる前の日本の音楽に惹かれるのか。楊さんは、こう考えている。

「Diggin Express」楊帆さん:
中国の若者は、日本の昭和時代やシティーポップの黄金期を直接経験していません。それでも、経済が上向く時代の明るさや、美しいものを求める気持ちには共感できる。だから、その時代の音楽や文化にも心を動かされるのだと思います。

「杏里」の経歴や音楽性などを詳しく説明する楊さん
「杏里」の経歴や音楽性などを詳しく説明する楊さん

当時を懐かしむだけの音楽ではなく、その時代を知らない若者にも魅力が届いている。
しかし、2025年11月以降、日本のアーティストを中国に招く公演は開催できなくなった。日本の音楽を聴きたい人がいなくなったわけではない。それでも、演奏する人と聴く人が、同じ会場に集まれない状況になってしまった。

中国に呼べないなら、日本へ

そんな中、楊さんたちが考えたのが、中国のファンと日本へ行って公演を楽しむ企画だった。

中国で公演を待つのと、航空券やビザを用意して外国へ行くのとでは、負担が違う。参加者が集まるか不安もあったというが、それでも、7月の企画には20人余りが参加した。会場では、中国のファンが日本語で歌を口ずさみ、昔の珍しいレコードを持参した。

ライブでは中国人参加者が日本語の歌を口ずさんだ
ライブでは中国人参加者が日本語の歌を口ずさんだ

その姿に、日本側のアーティストや関係者も心を動かされたという。

10月にも同様の企画が実施され、10人の参加者が東京のレコード店巡りやカラオケ、ライブ鑑賞などを楽しんだ。日本の数十年前の音楽を聴くために、海を渡る人たちがいる。その熱意に驚くとともに、中国の人々と日本文化との接点の多さを改めて感じた。

持参したレコードにサインをもらう中国人参加者
持参したレコードにサインをもらう中国人参加者

日本大使館のイベントに参加していた1980年代生まれの男性も、長年、日本の文化に親しんできた一人だった。

イベントに参加した男性:
『ちびまる子ちゃん』や『聖闘士星矢』など、アニメの歌を聴いて育ちました。

山下達郎の魅力を語るイベント参加者
山下達郎の魅力を語るイベント参加者

自身もギターを弾き、山下達郎については「声も、作曲も、ギターも素晴らしい」と熱く語った。日本語を学んだことはないが、気になる曲は歌詞を調べ、音楽が生まれた時代を知ろうと、日本の歴史や経済の本にも手を伸ばしたという。日本のアーティストの名前がごく自然に飛び出し、その魅力を自分の言葉で語る。私が想像していた以上に、日本の文化は身近な存在として受け止められていた。

関心を、出会いにつなげるために

それだけに、交流の機会が狭まっていることに歯がゆさを感じた。

熱心なファンなら、日本に足を運ぶかもしれないが、誰もが時間や費用をかけられるわけではない。近くで公演があれば足を運んでみようという人にとって、出会いの機会は遠くなる。楊さんは、交流を続ける意味について、こう話していた。

「Diggin Express」楊帆さん:
素晴らしい音楽は、国籍を問わず人の心を動かします。音楽を通じて心を通わせ、互いの文化を知り、体感できる。こうした交流には意味があると思います。

音楽を通じた交流の意義を語る楊さん
音楽を通じた交流の意義を語る楊さん

もちろん「音楽が政治的な対立を解決する」という簡単な話ではない。ただ、人の往来が細れば、相手を自分の目で知る機会も減る。互いの国を、政府の発言や対立のニュースを通して見る比重が大きくなることは気がかりだ。

日中関係の今後を左右するのは、まずは両政府の判断だろう。日中関係筋は、「政府間の話し合いが全くできず、没交渉の状況が続いている」と頭を抱える。厳しい状況だが、両政府には、互いの立場を主張するだけでなく、状況を打開するための知恵を絞ってほしい。

訪日イベントで交流を深めた中国人参加者と日本人アーティストら
訪日イベントで交流を深めた中国人参加者と日本人アーティストら

北京で出会った日本文化を愛する若者たちの日本への関心は、失われていなかった。好きな音楽を通じて、相手の歴史や社会を知ろうとする人もいる。関係悪化から1年、その関心を実際の出会いにつなげる道まで、細らせてほしくない。

【執筆:FNN北京支局 近藤雅大】

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近藤雅大
近藤雅大

FNN北京支局特派員
2014年東海テレビ入社
東京支社営業部を経て2016年から報道部へ
愛知県警、岐阜支社、行政、ドキュメンタリー担当など経て2025年9月~現職

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