福岡・北九州市でアパートが放火され6人が死亡した事件の裁判。被告人質問が行われ、無罪を主張する被告側に対し、検察側は新たな証拠を示した。
被告 「何も記憶がありません」
北九州市小倉北区で2017年5月、2階建てアパート『中村荘』が全焼し、当時、建物内にいた住人14人のうち6人が犠牲になった火事。

出火原因の特定は難航するが、7年が経った2024年、警察が放火などの疑いで逮捕に踏み切ったのが中村荘の元住人、井上浩二被告(58)だった。

事件発生から7年後に容疑者逮捕に至った福岡県警捜査一課の橋本浩輔・課長(当時)は「1日たりともこの事件を忘れたことないですね。被疑者の逮捕を諦めたことも1度もありません」と語っていた。

井上被告は、11月5日に福岡地検小倉支部で開かれた法廷で、改めて事件への関与を否定した。

▼弁護士 「平成29年5月7日の記憶は?」
▼井上被告 「何も記憶がありません」
▼弁護士 「中村荘に行っていないと言い切れる理由は?」

▼井上被告 「行く用事がないからです」

弁護側「放火する動機も存在しない」
10月に行われた初公判では「私は関係ありません」と起訴内容を否認した井上被告。弁護側は、火災の原因は放火以外の可能性があることを指摘した上で「放火する動機も存在しない」などと無罪を主張。

一方、検察側は、井上被告が中村荘の入居時に他の居住者に対して管理会社への不満を挙げて「火をつけようか」などと話していたことや、犯行に使われたものと矛盾しないガストーチが、井上被告の自宅から押収されたことなどを指摘している。

これまでの裁判では、捜査を担当した警察官や当時の中村荘の住人など約30人の証人が出廷し、審理が進められてきた。

検察が新たな供述証拠を明らかに
11月5日の裁判。検察が新たな供述証拠を明らかにした。

弁護側は、これまで「井上被告は事件当日に中村荘周辺に立ち寄っていない」と主張していたが、井上被告が、逮捕後の検察による取り調べに「事件当日、中村荘付近に立ち寄ってたばこを吸った」などと供述した、という内容だ。

その点について、井上被告は…。
▼弁護士 「火災が起きた日に中村荘の近くでたばこを吸った、この行動を取った記憶は?」
▼井上被告 「なかったです」
▼弁護士 「記憶がなかったのに(調書に)サインをしたのか?」
▼井上被告 「そうです」

火事があった日に中村荘周辺に立ち寄った記憶はないと改めて主張した。さらに…。
▼弁護士 「中村荘に住んでいた時期は1ヶ月くらい?」
▼井上被告 「はい」
▼弁護士 「引っ越したあと、中村荘を訪れたことは?」
▼井上被告 「いや、ないです。行く用事がないからです」

既に退去していた中村荘を訪れる理由がないことや、入居時も住民との間にトラブルはなかったと説明し、放火の動機も否定した。
(テレビ西日本)

