2026年8月に議員辞職した福岡県議会の蔵内勇夫元議長(72)が11月5日、約2カ月半振りに公の場に姿を現し、記者会見を開いた。

金銭授受疑惑など一連の問題についてどのように説明したのか。ジャーナリスト鈴木哲夫氏が解説する(2026年11月5日放送『報道ワイド 記者のチカラ』より)。
発言できる記者は1社1人 会見としては異例
約2か月半振りに公の場姿を見せた蔵内前議長だが、説明責任が果たされたのか。

5日の会見は、蔵内氏の事務所が主催するかたちで開かれ、会見時間は体調を考慮して1時間30分程度、参加できるのは記者クラブ加盟社に限られ、発言できる記者は1社につき1人、質疑応答の部分は会見終了まで放送や配信ができないという条件がつけられた。記者クラブ側は直前まで蔵内氏側と交渉を続けたが条件は覆らず、会見としては異例のかたちとなった。

▼鈴木哲夫氏「蔵内氏は、今は議員でもなく私人といえば私人で、記者会見を巡っていろんな条件をつけるのは分かるが、これまでの蔵内氏の立場や問題の大きさを鑑みると、ある意味ではまだ公人とも言える」

▼鈴木哲夫氏「そういう意味ではできる限り長い時間を取っていろんな質問に答えたり、記者クラブの加盟社だけではなく僕らみたいなフリーの人間も入れるとかもう少しオープンなものにするべきだった」
蔵内氏 「自分の確信に基づいて発言している」
最大の焦点である金銭授受疑惑については、冒頭で「議会の人事に関して金銭を受け取ったことはない」と改めて強く否定した。ゴルフ会や会食の費用の負担については「割り勘の認識で参加していた」とし、新しい話として「当時の会計担当者がきちんと処理している」と強調した。

▼記者 「現金500万円を蔵内さんに渡したという民主系の新村元県議の証言を覆すような客観的な証拠はあるのか」
▼蔵内氏 「ない。15年前なので、なかなか出てこない、しっかり調べたい」
▼記者 「きょうの説明で県民が納得すると思うか」
▼蔵内氏 「私は自分の確信に基づいて発言しているので、県民の方々からの評価は分からない」

終始、第三者委員会で調査すると何度も繰り返した蔵内氏。この金銭授受疑惑の説明に関して鈴木氏の受け止めは?
金銭疑惑のポイントは証拠が出てくるのかどうか
▼鈴木哲夫氏「ひとつポイントなのは、記者が相当、突っ込んで質問していましたが『物証なり証拠みたいなものがあるのか』と(いうこと)。これ、非常にポイントになってくるんですね。特にこれから百条委員会とか第三者委員会になると、特に百条委員会では物証なんかが出てきたら、それまでウソついてたことは偽証になるぐらいです。ところがその物証が蔵内さんにはなかなかない、と。これ蔵内さんは『しっかり調べたい』と言っていましたが、もう僕は調べてると思いますよ。そういうことに備えて会見してると思うんですー」

▼鈴木哲夫氏「一方でこれは蔵内さんだけじゃなくて告発した側も(金銭を)渡したという物証がどれだけきちんとあるのか。こちら側も100%ではないですよね。そうするとここで揉めていたら結局、お互いの言い分で決定的な証拠がなければ『どちらともいえない』という結論になる可能性もある、と。僕はその辺が非常に不安な感じがしたんですよ。だから、メディアも含めて、蔵内さんにも告発した側にも物証を追求していく。これは百条委員会や第三者委員会の責務でもありますが、新たな証拠が今後出てくるかというのは、本当に大きな焦点です」
巨額のワンヘルス予算 蔵内氏がどう関与?
そしてもう1つ、ワンヘルス事業。福岡県の関連予算が5年間で4378億円に上ることが10月下旬に県から発表されたが、蔵内氏はこの事業の進め方について問われると「反省している」と話す一方で「私しかワンヘルスのことを分かっていなかった。もう少し丁寧に説明して進めていくべきだった」と話した。

この4378億円という巨額の予算に蔵内氏がどう関与したのか? これについては明らかにされなかった。

▼鈴木哲夫氏「会見が終わったあと、僕、蔵内さんと1対1で会ったんですよ。本当は僕らも参加できる記者会見してほしかったけど、できないから1対1で話を聞きました。そしたら『お金のことについては、とにかく百条委員会や第三者委員会で説明するしかない』というようなことを言ってました。ワンヘルスについてはやはり思いが相当強いというようなことを言ってました」

▼鈴木哲夫氏「ワンヘルスの予算が今、すごく大きいと問題、疑惑はすごくありますが、これまでも議会で、例えばこのワンヘルスのこの額とか含めてしっかり追及したり議論してきたのかなと思うんですよ。つまり結局、県も議会も蔵内さんの流れに何となく忖度しながらやってたんじゃないか。そうするとこれは蔵内さん1人の問題じゃなくて、議会全体が反省しなきゃいけないので、そういうところも僕は見ていくべきじゃないかなと思いますけどね」

最後に蔵内氏は「もう1度会見を開いて説明する考えがあるか」と問われると「現在のところ考えていない」と明言した。ただ、きょうで全ての説明責任が果たされたとは到底言えない。今後は、第三者委員会と百条委員会で蔵内氏がどう説明をしていくかが一番の焦点となってくる。
(テレビ西日本)

