「迷いなく、自分の思った通りのプレーができた」。9月のアジア大会ソフトテニスで、日本代表の柱として女子団体の金メダル、シングルスの銅メダルを獲得した、福井市出身の宮前希帆選手(20)だ。身長は156センチと小柄だが、緻密な戦略と技術を武器に世界の舞台で結果を残している。「苦しくても頑張り切る」をモットーに前を向き続ける、その強さの秘密に迫った。
「恩返しができた」アジア大会で見せた迷いのないプレー
京都府城陽市のテニスコートで、黙々と練習に打ち込むのは、アジア大会では日本代表の柱として躍進し、期待の新星として注目を集める宮前希帆選手だ。
大会を振り返り、宮前選手は「前衛としての嗅覚」を十分に発揮できたと語る。迷いのないプレーができたことが、手応えにつながったという。
会場にはお世話になった人たちが数多く応援に訪れていたといい「私なりの恩返しができたので、やってきて良かった」と話す。
「やめたいと思ったことは何回も」5歳で握ったラケット
宮前選手がラケットを握ったのは5歳のとき。ソフトテニスのコーチをしている母の影響だった。
最初はボールを打つのが楽しくて続けていたという。しかし、背が小さいこともあり、なかなかボールに触れられずポイントを取る機会も巡って来なかった。
「本当にやめたいと思ったことは何回かある」と明かすが、踏ん張り続けてきた。
高校はソフトテニスの強豪、広島翔洋高校へ進学。その後、一度は大学に進んだものの、ソフトテニス一本に打ち込むため大学を中退し、実業団の名門、ワタキューセイモアに入団した。
支えになったのは、競技そのものへの思いだ。「ソフトテニスという競技がすごく好きだった。それが私がやる理由。好きだから苦しいことも頑張れる」
「頭を使うのが自分の強み」小柄な体を補う武器
156センチという体格をカバーする大きな武器が、戦略だ。宮前選手は「運動神経が特別いいわけではない」と自らを評する。フィジカル面をカバーすべく、戦略や組み立てを人一倍考えるよう意識しているという。
「頭を使うことは自分の強み」だと語り、その積み重ねで迷いなく動けると自身を分析している。
大切にしている言葉は「過去の自分に未来の自分が感謝する」。苦しいことは正直多いが、いま頑張らなければ結果は出ないと考え「苦しくてもやりきる、気持ちで負けないことを意識している」と話す。
「どれだけ小さくても勝ち側に回れる」子供たちへのメッセージ
福井を離れて約5年になるが、大会の合間にはよく地元に帰って来ているという。
地元で楽しそうにスポーツに取り組む人たちの姿を見ると「もう1回頑張ろう、という力をいただく」という。福井は「帰れる場所、優しい力をもらえる場所」であり、「めちゃくちゃ愛着が湧いている」と語る。
スポーツに励む福井の子供たちには、こんな思いを伝えたいという。「スポーツはフィジカル面が大きく、強い人が勝ちやすいというイメージがある。でも、そんなことはない」
「どれだけ小さくても、頭を使ったり自分の得意をしっかり出していけば、勝ち側に回れる」
自分を、その目標にしてもらえたらうれしいと語った。
「優勝しかない」2年ぶりの頂点へ
アジア大会でのメダル獲得を経て、宮前選手が見据えるのは全日本選手権での2年ぶりの優勝だ。
「どんな人が来ても、どんな大会でも、どんなコンディションでも、勝ち続けられる選手になれるように取り組んでいきたい」

目標は「優勝ですね。そこしかない」と力強く言い切った。

