「毎日、子供たちから元気をもらっている。そのパワーをサッカーにつなげていきたい」そう語るのは、現役のサッカー選手。北信越フットボールリーグ1部の福井ユナイテッドFCが、新規事業として放課後児童クラブの運営をスタートさせた。“先生”として子供たちを預かるのは、教員免許を持つ現役サッカー選手。全国的にも珍しいこの取り組みを取材した。
元教員のサッカー選手が児童クラブ“先生”に
放課後の福井市中藤小学校に到着したのは「FUKUI UNITED」と書かれたバス。下校する児童たちを迎えに来たのは、福井ユナイテッドFCの現役選手、山口哲平さん(24)と立山大祐さん(22)だ。
送迎バスのハンドルを握る山口さんは宮崎県出身の24歳で、大学卒業後に中高一貫校の教員を経て、この春チームに加入した。
中型免許は「去年、教員をしていたときに、部活動の選手の送迎で必要だったので取得した」という。
山口さんは、5月の天皇杯県大会決勝では2ゴールを挙げた現役バリバリの選手でもある。
もう一人の立山さんは埼玉県出身の22歳。3月に大学を卒業し、新卒でチームに加入。リーグ戦でもすでに2ゴールを記録するなど活躍を続けている。「チーム加入時から学童で働いて欲しいと誘ってもらった」といい「子供に携わる仕事に就けるのは嬉しい気持ち」とやりがいを感じている。
サッカーチームの使命として地域貢献
バスで走る事、約5分。到着したのは、放課後児童クラブ「ふくみ」だ。
「ふくみ」は、福井ユナイテッドFCが2026年4月から運営を開始した放課後児童クラブ。最大の特徴は、教員免許を持つ現役選手2人が週5日勤務するという点。
福井ユナイテッドFCの選手の多くは、平日の午後に県内企業で働いている。その中で、チーム自らが選手の働く場を生み出したのは、社会課題への意識からだった。
服部順一代表取締役社長は「地域に存在するチームとして、地域貢献は絶対的な使命。共働きという社会課題にも応えられるかと思い」放課後児童クラブの運営を決めたという。
背景には、福井市の放課後児童クラブをめぐる現状がある。市内には現在88カ所のクラブが存在する。人口減少で児童数は減っているものの、共働き世帯の増加を受けて施設数・登録者数ともに増加傾向が続いている。
2023年度の82カ所・3538人から、2026年度には88カ所・3618人へと拡大。ニーズは確実に高まっている。
「子供たちの応援がサッカーの力になる」
この取り組みは、選手やチームにも良い影響を及ぼしている。
保護者からは「子供に先生が試合で活躍したと話すと、試合を見に行きたいと言われる」という声が。子供たちは“先生”2人の活躍を見て「かっこいい。シュート打ってたりしてるから」と目を輝かせる。
服部社長は「サッカーで活躍してもらうためにも、自分の向いた仕事に就き、そこの子供たちが応援してくれるので、それがサッカーを頑張る力になる」と語る。
選手の活躍がファン獲得につながり、ファンの存在がまた選手を奮い立たせているのだ。
立山さんは「ホーム戦に子供たちが応援に来てくれているので、それが本当に力になっています。その元気を還元するためにも、子供たちにも100%で接していきたい」と笑顔を見せる。

地域のサッカーチームが放課後児童クラブを運営するという取り組みは、全国でもまだ4例目。選手にとっては働く場、チームにとってはファン獲得、保護者にとっては安心。スポーツを通した地域貢献を進める取り組みが始まっている。
