水泳界が注目するスイマーが福井・福井市にいる。日本中学記録をもつ、中学3年生の竹野伊織選手だ。1歳から水泳を始め、日々進化を続けるあくなき探求心に迫った。

1歳から水泳を始め5歳で“開花”

福井市にある金井学園スイムクラブでダイナミックな泳ぎを見せる竹野伊織選手(15)。2025年3月に東京で開かれたJOCジュニアオリンピックカップ200mバタフライで、競泳元日本代表の瀬戸大也選手が持っていた短水路日本中学記録を更新し、1分54秒78で優勝した注目の中学生スイマーだ。

竹野伊織選手
竹野伊織選手
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1歳の時、両親の“丈夫な体になってほしい”との思いから始まった竹野選手の水泳人生。練習にのめり込む一方で、水泳漬けの日々の中で、やめたいと思うこともあったという。
  
「タイムが出なかったり、友達と遊んでる時間の方が楽しいなとか、逃げ道を考えていたことはあった」(竹野選手)
  
良いタイムを出せない中で大きなターニングポイントとなったのが、小学5年生で臨んだジュニアオリンピックだった。初めて決勝に残り、準優勝を果たした。「その時に周りの速い選手と泳ぐのが楽しいと初めて感じて、その時から、速い人たちと戦うのがすごく好きでやっていると思う」

ジュニアオリンピックで準優勝
ジュニアオリンピックで準優勝

自分で自分をコーチできる能力

自身の強みについて竹野選手は「壁を蹴る時と、その後の水中動作は多分誰よりも強い」と分析。「同世代だとターンして潜った後にすぐ上がってきちゃうけど、僕はルール、ギリギリの15メートルまで行く。練習から毎回、力強くやるようにしている」

ターンが強み
ターンが強み

3年前から指導している松田コーチは、竹野選手の魅力についてこう語る。「一番いいのは俯瞰(ふかん)して自分のことを見ているところ。僕が言うのも変だが、自分で自分をコーチできるような能力が、彼はすごく高い」
   
さらに「僕が作ったメニューを勝手に変えちゃう時が結構あって、後で聞いたら自分に合った内容に変えました、と。やっぱり考えてるんですよね、常に。どうやったら練習をレースにつなげられるかという所を」と続ける。
  
さらに、竹野選手の、日頃の練習から細部までこだわる姿勢が、チームにもいい効果を生んでいるという。

飛び込み前の竹野選手
飛び込み前の竹野選手

「変化を恐れない」がモットー

竹野選手の今後について松田コーチは「体も発達段階でこれから筋力も上がってくるだろうし、本人も分かってると思うが、持久力など苦手な部分があるので、そこを突き詰めていければ高校、大学と伸び続けられる選手になる」と期待を込める。
   
その竹野選手が日々意識、実践しているのは「変化を恐れない」こと。「変えないと結局、同じ結果になる。同じ結果になるのが一番嫌なので、別にタイムが落ちても、違う泳ぎができればそれは収穫なんで、そういう風に捉えている」

竹野伊織選手
竹野伊織選手

中学生としては最後の夏、竹野選手が狙うのはー
「全中で100mバタフライと200mバタフライで2冠をとりたい」
  
その後もジュニアオリンピック、国民スポーツ祭と大きな大会が続く。
   
「厳しい戦いにはなるけど、負けてもいいから、自分の実力がどんなもんなのか知りたい。日本中学記録があと1秒ぐらいなので、更新にはこだわっていないが、目標として入れている」 (竹野選手)
   
将来についてはー
「どこまで水泳を続けるかは決めていないが、今まで全国で戦っていたので、世界で色んな国の人とも戦ってみたいし、そこで勝ちたい」

目指すは全中での2冠
目指すは全中での2冠

竹野選手は、8月17日から始まる全国中学校大会に出場。22日から26日には全国JOCジュニアオリンピックカップ、9月13日から15日に国民スポーツ大会と、大きな大会に続けて出場する。

竹野選手の今後の予定
竹野選手の今後の予定

県内の水泳界を引っ張り、全国トップレベルで活躍している竹野選手。さらなる活躍に期待が高まる。

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福井テレビ
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