「卵は1日に2個以上食べると体に悪い」、「食べても1日に1個まで」。そんな風に思っている方も多いかもしれませんが、実はこれは間違い。
むしろ、2個以上食べても体に悪影響がないどころか、想像以上に栄養が詰まっていて、健康促進につながるといいます。
卵のソムリエ検定、通称「タマリエ」のなかでも最高位資格「五ツ星タマリエ」を史上最年少で取得した株式会社半澤鶏卵の半澤清哉さんに、秘められた栄養素と1日に食べていい目安の個数を教えてもらいます。
文=半澤清哉
「1日1個まで」という誤解はなぜ広まった?
「卵を食べすぎると血管が詰まる」や「2個以上食べると体に悪い」という誤解が広まったのは、100年以上前に行われた、ある動物実験がきっかけだといわれています。
時計の針を1913年のロシアに巻き戻してみましょう。
当時の研究者が「コレステロールをたくさん摂ると体にどんな影響が出るんだろう?」と考え、実験を行いました。そのとき実験台に選ばれたのが、なんと草食動物の「ウサギ」だったのです!
ウサギに栄養たっぷりの卵を食べさせたところ、血中コレステロール値は跳ね上がり、血管がボロボロになって動脈硬化を起こしてしまいました。
「やっぱり卵を食べるとコレステロールが増えて病気になるんだ!」と、世界中で大ニュースになってしまったわけです。
でも、ちょっと待ってください。
ウサギは普段、草や葉っぱを主食としている動物です。脂っこい肉や魚、卵のような「動物性の食べ物」を消化・分解する仕組みは生まれつき持っていません。
草しか食べない生き物に無理やり卵を食べさせれば、血管にコレステロールが溜まって病気になっても不思議ではありませんよね。
一方、私たち人間はどうでしょうか?
人間は何万年も前からお肉も魚も木の実も食べてきた「雑食動物」です。人間の体には、非常に優秀な「自動エアコン」のような調整機能が備わっています。
食事からコレステロールをたくさん食べたら、肝臓が「あ、外からいっぱい入ってきたから、体内で作るのはストップしよう!」と生産を減らし、逆に食事からあまり入ってこなければ「足りないから体内で作ろう」と生産を増やします。
だから、食べ物からコレステロールを摂ったからといって、そのまま血液中の数値が跳ね上がるわけではないのです。
日本でも面白い実験があります。健康な人に「1日に卵を5個〜10個、5日間ぶっ続けで食べてもらう」というかなりハードな実験を行いました。1日10個といえば、5日で50個です!
ところが、実験が終わっても参加者のコレステロール値はほとんど変わりませんでした。
さらに、最近の研究でも、普段の食事に加えて毎日3個ずつ2週間食べ続けてもらいましたが、コレステロール値に目立った変化はありませんでした。
こうした数々の研究結果を受けて、国の基準(厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」)でも、2015年に「コレステロールの摂取上限」が一部を除いて撤廃されています。
つまり、「卵は1日1個まで」と我慢する必要は、科学的にどこにもないのです。
卵は一番身近な「奇跡のカプセル」
では、なぜ私が「卵を食べてほしい!」とお伝えしているかというと、それは卵が人間にとって理想的な「栄養のかたまり」だからです。
想像してみてください。

