“令和の米騒動”から一転、お米の価格が下がっています。お米ライターの柏木智帆さんは、このまま米価が安いままだと生産者の負担が増し、離農につながってしまうと指摘します。“令和の米騒動”の反動で、今生産者に何が起こっているのか、厳しい状況を柏木さんが解説します。
文・写真=柏木智帆
一時はお米の平均店頭価格が5キロ4000円台まで上がりましたが、9月に3000円台を割り込みました。
値段が下がった大きな理由は、「お米が余っているから」です。高値で買い控えが起きたことに加え、収穫量が増えたことで民間在庫が過去最高水準に積み上がり、「米不足」から「米余り」へと一転した状況があります。
今回は、お米の価格が下落した要因と、売り場からは見えてこない稲作現場の現状についてお伝えします。
生産コストを大きく割り込む米価に
お米の価格が下落した一番の要因は、米卸や米屋が高値で仕入れた2025年産米を抱えきれなくなったためです。
今年の夏前から在庫を持ち続けるリスクが高まり、値引きや投げ売りが始まりました。そのため、今年のお米を安く買い付けることができなければ、高値で仕入れた分の不利益を相殺できず、事業者が倒産してしまうリスクがあります。この安値傾向は2年ほど続くのでないかという見方もあります。
そうは言っても、安い米価が続けば生産者側が厳しい状況に陥ってしまうのも事実です。
一方で、今年の春先から、農水省は主食用米(普段食べるお米)が過剰になるリスクを警告し、味噌や菓子などに使う「加工米」や家畜の「飼料米」への切り替えを呼びかけていました。需要以上に主食用米を生産すると値崩れが起き、生産者自身の首を絞めることになってしまうためです。
また、加工米や飼料米が不足すれば、味噌製造業者や酒蔵、養鶏業者などにも幅広く影響が及びます。そのため、生産者が最も目にするメディアである『日本農業新聞』の全面広告でも、転作のすすめを強くアナウンスしていました。

