ある日突然、腰に激痛が走る、いわゆる“ぎっくり腰”。20代から50代まで幅広く発症する国民病だが、そのメカニズムは医学的にも謎に包まれている。日常の動作に潜むリスクと、日頃からできる対策を紹介する。
正式には「急性腰痛症」
ぎっくり腰の正式な医学名は「急性腰痛症」。福井赤十字病院・整形外科の三井俊裕医師によると「原因の分からない腰痛のうち、4週間未満しか持続しないもの」を指す。
20代から50代まで幅広い年代に起こり得るが、そのメカニズムは「背骨の関節に一時的に異常が起きるのが原因という説があるが、はっきりしたことは分かっていない」という。
一般的には、重いものを持った時やふいに動いた時、腰をひねった時に起こりやすいとされる。「中腰になったときに腰にかなり負荷がかかって痛みが出ることが多い」と三井医師も説明する。
このため、荷物を持つ際は腰だけを曲げず、膝を使って腰をしっかり落とし、荷物を体幹に近づけてから立ち上がることがポイントだ。
特に、気温の変化で体が動きにくくなる季節の変わり目には注意が必要だ。
「動かなくても痛い」は大動脈解離の可能性も
一方で三井医師は、ぎっくり腰だと思い込んで放置することの危険性もあると警鐘を鳴らす。
「基本的にぎっくり腰は動くと痛いもの。動かなくても痛いというのは内臓系の病気で、大動脈解離といって大きな血管が裂けて痛みが出ていることもあり得る」と語る。
じっとしていても激痛が続く場合は、骨折やヘルニアなどの可能性もある。「ぎっくり腰だろう」と自己判断せず、安静にしても痛みが引かない場合は、医師に診てもらうことが重要だ。
ぎっくり腰になってしまった場合の対処について、三井医師は「2日ぐらいを目安に安静にして、その後は徐々にストレッチをするなどして動いた方がいい」とアドバイスする。
日頃からできる予防エクササイズ2選
ぎっくり腰の予防には、腰回りを支える筋肉を日頃から鍛えておくことが有効だ。以下の2つのエクササイズを紹介する。
◆お腹の深層筋を鍛えるトレーニング◆
・仰向けで膝を軽く曲げた状態から腰骨の出っ張っている部分のやや内側を軽く押さえる。
・鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、今度は口から息を細く長く吐きながら凹ませていく。
・浅めの呼吸を続けながら、お腹が硬くなっている状態を10秒キープ。
◆太もも裏のストレッチ◆
・椅子に浅く腰かけ片脚を伸ばす。
・背筋を伸ばした状態で上半身を前に倒していく。
・太ももの裏が軽く張る程度になったら20秒キープ。
いつ襲ってくるか分からないぎっくり腰だが、日頃の運動や正しい姿勢、荷物の持ち方を意識することでリスクを減らすことはできる。
それでも万が一、安静にしても痛みが引かない場合は迷わず医療機関を受診しよう。

