看護師を目指す人の中では、いま専門学校よりも大学の希望者が増えている。こうした中、看護師を目指しながら大学卒業の資格も取得できる“進学ニーズ”に応じた看護学校の新たな試みが注目されている。
看護学校の出願者が減少
佐賀・嬉野市の嬉野医療センター附属看護学校。この学校では3学年、約120人が看護師を目指して学んでいる。

一方、医療現場は全国的に看護師の人手不足に直面している。
嬉野医療センター 力武一久 院長:
看護師さんは足りなくなると由々しき問題だと思います

この学校では地域の医療を担う人材を長年輩出してきた。
ところが、毎年の定員を満たしてはいるものの出願者の減少が課題となっているという。
合格者の半数が辞退し7割が大学へ
嬉野医療センター 力武一久 院長:
専門学校よりも大学へ進学したいという希望者が増えてきている。当校を受験されても辞退される方が非常に多い。半数以上になってきた

この附属看護学校の一般合格者の辞退率は、ここ5年で50%近くを推移していて、合格者の半分が別の進路を選択。年によって違いはあるが、辞退者のうち7割近くは看護系の大学に進むのが現状だという。

嬉野医療センター 力武一 久 院長:
学士という資格を取れるということと、給与体系も変わってきているというのがありますので、大学進学というのが1つのトレンドになっている

嬉野医療センターは県南西部の中核病院。附属看護学校の入学辞退者の増加は、将来の看護人材の確保や地域医療の維持にも影響しかねない。
こうした課題に対応するため学校では新たな取り組みを始めることになった。
看護師を目指しながら放送大学の授業
そのひとつが「放送大学」との連携だ。国立病院機構附属の学校では初めての試みで、進学ニーズに対応するため来年度の新入生から導入される。

これまで通り、3年間で看護師を目指しながら放送大学の授業も履修。3年過程を卒業後は働きながら残りの放送大学の単位を取得することで、学士の資格も目指すことができる。

この連携により、看護学校で取得した単位の一部が、放送大学の卒業要件として認定されることになっている。
看護師と大学卒 新たな進路の選択肢
もちろん時間的な制約はあるが、4年制大学とは異なり1年早く現場を経験できるうえ、さらに学士号も目指せるため、新たな進路の選択肢になると期待を寄せている。

嬉野医療センターの力武一久院長は「看護に関する教育だけではなく、幅広く教養を身につけさせたい」と放送大学と連携する新たな試みについての思いを語る。

嬉野医療センター 力武一久 院長:
世の中としては大学化の流れが進んでいるが、その中で早く看護師にもなりつつも大学の資格を取る方法もあるというのは1つの選択肢としてあるのではないかと
患者に寄り添う“人間力”を育む試み
新たな試みのもうひとつが、人間力を育む取り組みだ。
協力を仰いだのが、日ごろから多くの観光客に接する温泉旅館の女将。

患者やその家族と深くかかわる看護師にとって、コミュニケーション力や人への気遣いは欠かせない。
通常の講義では聞けない話に参加した学生は熱心に耳を傾けていた。

大村屋 北川洋子さん:
患者さんには感情ありますよね。だから寄り添う心っていうのを育てないといけない。相談したいな、聞いてほしいな、という存在にならないといけない
「学生に総合力をつけさせたい」
嬉野医療センターの力武一久院長は「(新たな試みが)成功するかどうかわからないが、医療というのは人と人の関わり合い、信頼関係に基づいて行われるもの。コミュニケーション能力、幅広い知識の習得という全体的な総合力を学生に身につけさせたい」と話す。

優秀な人材の確保が急務となっている看護業界。看護学校にも新たな人材育成の形が求められている。

