福岡市の天神地下街が、開業50周年を迎えた。進化を続ける天神地下街、それぞれの思い出が交差する“てんちか”の50年を取材した。
19世紀ヨーロッパの街並みを再現
2026年9月10日、開業50周年を迎えた天神地下街、通称“てんちか”。

全長590メートル。19世紀ヨーロッパの街並みを再現した石畳にグルメやファッションなど約150の店が並び、1日に20万~30万人が利用している。

地方都市として発展の兆しが顕著になり始めた1960年代の福岡市。

その中心部の天神は、路面電車や車が行き交い、道路の混雑は年々激しさを増していた。そんななか、混雑の緩和を図ろうと計画されたのが地下街の建設だった。

そして1976年。全長360メートルの天神地下街が完成した。

『19世紀のヨーロッパの街並み』をイメージした地下空間。石畳が敷かれ、100店舗ほどが軒を連ねた。多くの市民が心を躍らせた“街並み”の誕生だった。

買い物に訪れた女性は「割と感じがいいみたい」と楽しそうに話し―

また別の女性は「あら? ここ、福岡かなっていう感じがします」と嬉しそうな表情でインタビューに応えていた。

2005年には、地下鉄七隈線の開業に伴い、地下街が南側に230メートル延伸された。

店舗数は150と増え、さらに“てんちか”は、賑わいが増していく。

そして、ここ数年、天神ビッグバンで次々と新ビルが誕生し地下街と直結。インバウンド需要も高まり、売り上げは右肩上がりとなっている。

『福岡地下街開発』の森髙凌平さんは「2025年度の売り上げは225億円を超えまして、過去最高の売り上げとなっております」と話す。

“ケータイ”がない時代の待ち合わせ場所
あれから50年。街の人たちに天神地下街での思い出を聞いた。

「当時は、携帯電話がまだなかったので、天神地下街のインフォメーションで待ち合わせして、どこにいるかなとぐるっと回っていた」と話す50代の女性。

また70代の女性は「憶えています、憶えています。やっぱり憧れでしたもん、福岡の田舎のものにとっては。ここに来たら福岡のエネルギーを感じるし、福岡に来たってイメージがあるし「地下街」とか「地下鉄」って言ったら、わーって、みんなうらやましがった」と懐かしそうに話す。

開業50周年を記念して始まった『てんちかよりみちストーリー展』。

開業当時のパンフレットなど貴重な資料や著名人からのお祝いのメッセージなどが紹介されている。

また、事前の応募で選ばれた利用客の天神地下街にまつわる『思い出エピソード』のイラスト50作品も展示。

約650作品の中から最優秀賞に選ばれたのは、福岡県内に住む奥積竜太さんの『似たもの親子』だった。

「学生時代に将来の進路について、父と話してよくぶつかっていたんですが…」と話す奥積さん。

将来の進路に悩んでいるとき、父親に誘われて初めて2人で食事をしたのが、天神地下街にある人気そば店『加辺屋』だったという。

奥積竜太さんの父親は「きのうは、久しぶりに息子と2人で加辺屋に行って、うまいそばを食べました。感慨深かったです」と話す。

“てんちか”人気の老舗そば店
開業当時から“てんちか”に店を構える『加辺屋』。「人気なので、入れないときもあるんですけど、こうやって頂くと本当においしいので、また来たくなる」と話す客もいるほど1日中、客足が途絶えない人気のそば処だ。

『加辺屋』天神地下街支店の店長、山崎菜津子さんは「父が、東京の八重洲の地下街の人混みを見て『これからは地下の時代になる』と思ったらしい。そのあとに天神地下街の出店の募集があったので出店することになった」と当時を語る。

父の俊郎さんの一大決心で始まった地下街での営業。店構えや店内はその頃と殆ど変わっていないが、人の流れは随分変化したようだ。

「うちは地下街の一番、端だったので、本当にすぐそこの通路のところが壁だった、どん詰まりで。岩田屋に抜ける連絡通路もなかったし、いろんな建物が地上にできて地下の通路と繋がっていくのでやはり人通りはすごく多くなった」(『加辺屋』天神地下街支店 山崎菜津子・店長)。

店の今後を尋ねると「父の思い入れが、すごくあるお店ですので、私たちはそれを守っていく、できるだけ続けていく。余り大きく変わることはないんですけど、それがいいと言って頂けるお客様もいらっしゃいますので、その方たちを大切にしていく」と山崎さんは語った。

十二星座と羅針盤のステンドグラス
天神地下街に点在する美しいステンドグラス。今回、開業50周年を記念して新たなステンドグラスが設置され、1時間に1回、光の演出が行われる。

モチーフは、十二星座と羅針盤。地下街を行き交う人々が、豊かな未来を歩めるようにとの思いが込められているという。

さらに10月にかけて18の店がリニューアルする予定で、天神地下街はこれからも進化を続けていく。
(テレビ西日本)

