新型コロナウイルスの感染者数が最近、また全国的に増加しており、21日に国内の累計感染者数が13万人を超えた。24日は東京都内の感染者数は186人だったが、重症者の人数は51人にのぼり、緊急事態宣言解除後、最多となった。

国民一人ひとりが、改めてマスク着用や手洗い、アルコール消毒などの対策をしっかりと行っていく必要があるが、こうした中、金融機関の感染症予防対策として、日立オムロンターミナルソリューションズは、紙幣に付着した細菌やウイルスを高速で除菌する「紙幣除菌装置」を開発したことを発表した。
 

画像提供:日立オムロン
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紙幣は不特定多数が触れるものだが、そもそも「紙幣の除菌」は、膨大な量を扱うため除菌処理に時間がかかることなどから効果的な対策が確立されていない状況だという。

同社によると、海外のある金融機関では、紙幣の束に紫外線を照射した後、ウイルスの不活化のために一定期間保管してから、市場に再流通させているという。束のままの紙幣に紫外線を照射しているため、紫外線が内側の紙幣にまで届かず、全ての紙幣を除菌することが困難なことから保管時間を設けているとのことだ。

このような状況の中、今回、開発されたのが日立オムロンの「紙幣除菌装置」だ。

装置は、強力な紫外線を紙幣一枚一枚の両面から照射することで、高い除菌効果を発揮。また、毎分1000枚の除菌処理が可能となっている。

画像提供:日立オムロン

愛知医科大学でウイルス学を専門とする小松孝行准教授が実験を行い、効果の検証を行ったところ、紙幣に付着したコロナウイルスと似た構造を持つウイルスの99%以上が不活化したことを確認した。

装置は11月16日(海外向けは9月から先行受付)から注文を受け付け、12月から発売となる。価格は1台350万円前後だという。


紙幣が除菌されるのであれば、金融機関はもちろん、紙幣を手にする我々にとってもコロナの不安を解消する一つになるだろう。

なぜ紙幣除菌装置を開発することにしたのか? どれくらい問い合わせがあるのか? 日立オムロンの担当者に詳しく話を聞いてみた。
 

海外から要望があり開発

――紙幣除菌装置を開発することになったきっかけは?

各国でコロナウイルス対策として紙幣の一時保管などを行っており、海外から紙幣を除菌する装置はないかと要望があり、開発に着手しました。


――紙幣を介して、コロナに感染したという例はあまり聞かないが…

紙幣が直接新型コロナウイルスの媒介となったというお話はうかがっていません。ただ、くしゃみなどでウイルスのついた手で紙幣を触ると、紙幣にウイルスが残っている可能性はゼロではありません。

各国の研究機関からは、条件が揃うと紙幣上のウイルスが数日間生き残っているとの報告もあります。このような状況の中、紙幣を取り扱う様々なシーンでウイルスに対する不安に対して、安心を提供したいと考えています。

(画像はイメージ)

――紙幣除菌装置はどのようにしてウイルスを除菌する?

波長260nmの紫外線(UV-C)を照射することでウイルスのDNA/RNA構造を破壊しています。


――検証実験を行った小松准教授の実験についての感想は?

愛知医科大学准教授の小松孝行氏からは以下のようなコメントをいただいております。

<愛知医科大学 准教授 小松孝行氏>
今回の検証により、紙幣に付着したパラインフルエンザウイルス(コロナウイルスと類似の構造を持つエンベロープウイルス)の99%以上が不活化したことが確認され、本製品が市場に流通する紙幣を介したウイルスによる感染リスクを下げる効果が期待できる有効な製品であると考えます。

乾燥や保管のための期間は不要

――除菌した紙幣はすぐに使用できるの?

紙幣一枚、一枚を除菌できるので、乾燥や保管のための期間は不要です。


――問い合わせはどれくらいある?

金融機関からの引き合いや、他の機器メーカーから協業等でお問合わせいただいているところで
現時点で10件以上あります。

 

感染リスクがゼロとは言い切れない不特定多数が触る紙幣。感染の不安からかすでに多くの金融機関などから問い合わせがあるのが実情のようだ。このような装置が金融機関に勤める人たち、そして私たちの感染からの不安を少しでも解消してくれるのかもしれない。

 

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