斎藤建元経済産業大臣は8月31日、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアが、ホルムズ海峡を通らずに原油を輸出するルートを増やしているとして、「ホルムズ依存度0%」も可能になるとの見方を示した。
産油国もホルムズ海峡を「迂回」
中東情勢が緊迫するたび、日本では、ホルムズ海峡が封鎖された場合に原油を確保できるのかが問題になる。
日本は輸入する原油の多くを中東に依存し、その主要な輸送ルートとなっているのがホルムズ海峡だからだ。
しかし、フジテレビ報道(公式)YouTubeチャンネルの番組「ニュース延長戦はじめます。」に出演した斎藤氏は、海峡への依存を減らそうとしているのは、原油を買う日本だけではないと指摘。
「実は産油国のUAEやサウジアラビアも、ホルムズ依存度を下げようという動きになっている」と語った。
UAEは、ホルムズ海峡の外側にある港へ原油を運ぶパイプラインに加え、第二のルートも建設している。完成すれば、生産する原油のほぼ全量を海峡を通さずに輸出できるという。
サウジアラビアも、東部の油田地帯から紅海沿岸へ原油を運ぶパイプラインを保有している。
原油を買う国だけでなく、売る産油国もホルムズ海峡への依存を減らそうとしていることから、斎藤氏は「ホルムズ依存度0%も可能になる」との考えを示した。
「売れる時に売りたい」産油国
なぜ産油国は、巨額の費用をかけて海峡を迂回するルートを増やすのか。
ホルムズ海峡が使えなくなれば、日本などアジアの国々は原油を入手しにくくなる。しかし、窮地に陥るのは産油国も同じだ。
現在、ホルムズ海峡を通る原油の9割がアジアに供給されており、そのアジアの国々がアメリカなどからの調達を増やせば、サウジアラビアやUAEは重要な販売先を失いかねない。
斎藤氏は「産油国にとって、原油を売れないのは致命的だ」と指摘した。
さらに、脱炭素化が進めば、石油や天然ガスなどの需要が将来、減少する可能性もある。
斎藤氏は「いずれ原油を持っていても意味がなくなる。だから、売れる時に売らなくてはいけない」と産油国の“胸の内”を明かした。
そして、「これは劇的な変化だ」として、ホルムズ依存度の引き下げは、原油を買う側のエネルギー安全保障から、売る側の国家戦略にもなろうとしていることを強調した。
原油のルートは増え、本屋へのルートは…
原油を運ぶルートは増えようとしている。一方で、街から本屋へ足を運ぶルートは失われつつある。
自民党の「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」で会長を務める斎藤氏は、全国で相次ぐ街の書店の閉店について危機感を示した。

ネット通販や電子書籍の普及、雑誌販売の減少、物流費の上昇などが重なり、現在、各地で書店が姿を消している。
斎藤氏は、「本屋に何気なく入って書棚を見ることで、視野が広がる。書店は人間の成長にとって大事だ」と述べ、これを単なる一つの産業の衰退として捉えるべきではないと訴えた。
ネットは関心を絞る。本屋は広げる
ネットでは、自分が検索したテーマや過去の関心に沿って本が表示される。
一方、街の本屋では、目当ての本へ向かう途中で、全く別の分野の本が目に飛び込んでくる。
斎藤氏は、その違いを「ネットは関心を絞り込む。本屋は関心を広げる。知らなかったら、自分から探しに行くことはできない」と表現した。
斎藤氏自身も、東京・八重洲の書店で元総理・原敬に関する本を偶然見つけ、その一冊をきっかけに、原敬をライフワークとして研究し、何冊も読むようになったという。
図書館は書店の代替にはならない
書店がない自治体では、図書館を充実させればよいのではないか、との問いに対して、斎藤氏は、図書館の重要性を認めつつ、「書店の代替にはならない」と答えた。

自分で購入した本なら、大切だと思う部分に線を引き、書き込みをしながら読める。ページについた汚れさえ、読んだ時の記憶と結び付くという。
その上で、「ネットと図書館と街の本屋さん、この三つが共存する世界が一番必要だ」と述べた。
ここで手を打たないと本屋がなくなる
もっとも、書店を守るための「特効薬」はないという。
政府による支援に加え、出版社や取次による流通の改善、自治体による事業継続の後押し、図書館と地域書店の連携が必要になる。
書店側にも、作家を招いたイベントやテーマ性のある棚づくり、他業種との連携など、来店につなげる工夫が求められる。
斎藤氏は「政府、出版社、取次、書店、自治体が、それぞれやるべきことをやらなければいけない」とした上で、こう警鐘を鳴らした。
「ここで手を打たないと、本当に本屋がなくなってしまう」。

