インターンで味わったワクワク
化粧品のECアプリを作る、社長を入れて5人の会社。社長は実績もないまま投資家に頭を下げ、何度もプレゼンを重ね、ようやく1億円の資本をかき集めて立ち上げた会社です。まさになけなしのお金。そのお金で回る会社を、私はそばでずっと見ていました。
社長は、会社の肝である集客を、入ったばかりの私に丸ごと預けてくれました。一切の迷いもなく。「なんでもやっていいよ」。使えるお金は月20万円だけ。その20万で会員を毎月1000人増やせなければ、会社は終わる。そんな緊迫感とワクワクのある会社でした。
外銀は、毎日何百億が動く場所。その桁に比べれば小さな資本金かもしれません。でも私には、なけなしの一億からひねり出した、この集客に使える20万円のほうが、ずっと重かった。しくじれば、社長が必死に立ち上げた会社は消える。あの外銀のフロアでは背負ったことのない重さでした。
不思議でした。会社が消えるかどうかの瀬戸際で、追い詰められているのに、その時間が楽しくてたまらなかったのです。なけなしの1億からひねり出した20万を、5人で1円残らず生かそうと知恵を絞る。最後に賭けたツイッター(現X)が2万のいいねを集め、登録の通知音が鳴り止まなくなった夜は、全員で笑い転げました。
アプリの人気ランキングを開くと、私たちのアプリが、あのIKEAのすぐ上に。「俺たち、IKEA越えか〜」。あとになって思います。あの笑いは、ただ楽しいだけの笑いではありませんでした。
重い責任を、信じ合える仲間と分け合えている。その安心が、笑顔になっていたのだと。笑って働けているか。それだけが、この仕事は自分のものだと教えてくれる、たった一つの“しるし”でした。

