東日本大震災を機に急速に普及した太陽光パネルが、今度は「廃棄」という新たな課題に直面しつつある。鹿児島県鹿屋市に大隅半島初となる太陽光パネルのリサイクル工場が誕生し、その現場では試行錯誤が続いている。
電気工事会社が始めたリサイクルの挑戦
鹿屋市で操業するのは、電気工事をメインとする地元企業・福元電設だ。太陽光パネルの取り付け工事も手がけてきた同社がリサイクル事業に乗り出したのは2024年のこと。きっかけは、施工時に顧客から投げかけられた一言だった。
工事部の堀之内洋平部長は当時をこう振り返る。「設置したとき『処分はどうしようか?』と質問があって、そういう時に答えたのは『どうですかね。分からないですね』としか言えなかった」。
設置した側が廃棄の答えを持てない——そんな状況に危機感を抱いた同社が、大隅半島で初めてリサイクルの受け皿となった。
年間500枚から2500枚へ、廃棄は急増中
操業開始時、工場に持ち込まれるパネルは年間500枚ほどだった。しかし2026年の見込みは約2500枚と、わずか数年で5倍に膨らんでいる。この日も薩摩川内市で使われていたパネルが次々と運び込まれた。
「ここまで増えてきているというのが驚きだった」と堀之内部長は語る。
太陽光パネルは2012年、電力の固定価格買取制度の開始とともに急速に普及した。一般家庭の屋根にも見かけることが多くなってから、すでに10年以上が経過している。パネルの寿命は20年から30年と言われており、2030年以降には大量廃棄時代に突入するとされている。廃棄台数の増加は、まさにその予兆だ。
パネルはどう分解されるのか
実際の作業工程を見ると、パネルはおおむね4つの素材に分けて再利用される。
まずアルミ製のフレームを取り外してリサイクルに回す。次に、銀や銅が含まれるケーブルや配線ボックスも取り外し、溶融して再利用する。堀之内部長は「この中に銀や銅がいっぱい入っているので、これをまた溶かして再利用」と説明する。

続いてパネル表面のガラスを空気で砕きながら飛ばし、粉状にして排出する。こうしてガラスと、太陽電池にあたるセルシートが分離される。
「もったいない」——7割を占めるガラスの行き場
課題として浮かび上がるのが、重量比でパネルの約7割を占めるガラスの処理だ。粉状になって出てくるガラスは受け入れ先がほとんどなく、活用の道が限られている。
この日、工場には太陽光パネルのリサイクルを啓発する全国組織のメンバーが視察に訪れた。専門の中間処理施設はまだ数が少なく、処分費用が安価な埋め立てが多いのが全国的な現状でもある。
「明るいものになるかもしれない」資源として見直す視点
太陽光パネルリユース・リサイクル協会の足立義輝理事は視察後、こう語った。「太陽電池の中には銅やアルミなどの資源が入っているので、この資源をしっかり使う、海外から買ったものを日本で使う、こういうことをすれば大量廃棄時代に向けて、明るいものになるかもしれない」。

廃棄物として埋め立てるのではなく、国内資源として循環させる——その考え方が広がれば、迫りくる大量廃棄時代は新たな局面を迎えるかもしれない。鹿屋市の工場での試行錯誤は、日本全体が向き合うべき問いを静かに投げかけている。
【動画で見る▶太陽光パネルリサイクル工場に潜入 大量廃棄時代を見据え【鹿児島・鹿屋市】 】

