酒類市場全体が縮小する中でも、糖質やプリン体などに配慮した糖質オフ・ゼロ系ビール類市場は拡大を続けているという。そんな中、アサヒビールの糖質オフ・ゼロ系ビール類ブランド「アサヒスタイルフリー<生>」から発売された新商品「アサヒスタイルフリー トリプルゼロ」の売れ行きが好調だ。背景にはどのような技術や消費者ニーズがあるのか。アサヒビールで「アサヒスタイルフリー トリプルゼロ」のブランドマネージャーを務める大石彩帆さんと、「アサヒスタイルフリー<生>」のブランドマネージャーを務める西山雅子さんに話を聞いた。
(聞き手:フジテレビアナウンサー 梶谷直史)

なぜ?糖質オフ・ゼロ系ビール類市場が拡大
皆さんは「糖質オフ」、「糖質ゼロ(※1)」などと表示されたビール類を飲んだことがあるだろうか。
糖質オフ・ゼロ系ビール類が登場したのは、2000年代初頭。以降、各メーカーが次々と商品を開発し、今やスーパーやコンビニでのビール類の売り場では必ずといっていいほど糖質オフ・ゼロ系ビール類を見かけるようになった。
少子高齢化や人口減少、ライフスタイルの変化などによって酒類市場が長く縮小傾向にある中、ビール類全体に占める「糖質オフ・ゼロ系ビール類」の割合が少しずつ拡大しているという。アサヒビールの調査では、2019年には13%だったところが2026年には18%程度まで拡大すると推計している。

この背景には何があるのだろうか。梶谷アナウンサーが市場拡大の背景について尋ねると、「アサヒスタイルフリー<生>」ブランドマネージャーの西山雅子さんは次のように語った。
「消費者の健康意識が高まって、日々のコンディションや食生活に気を配り、商品を選ぶ動きが広がっています。ビール類も例外ではありません。コロナ禍を経て家で飲む機会が増えたことも、自分に合う一杯を意識して選ぶきっかけの一つになったと考えています。また、糖質オフ・ゼロ系ビール類を選ぶ方には、継続して同じカテゴリーを選ぶ傾向もあり、それが市場の堅調な推移を支えているとみています」
存在感を増すアサヒスタイルフリーブランド
このような中で、同社の糖質オフ・ゼロ系ビール類ブランドである「アサヒスタイルフリー」シリーズも購入者数を増やしている。2024年8月の約380万人から2026年8月には約460万人になり、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場で年々存在感を増している。
アサヒビールは糖質オフ・ゼロ系ビール類市場への挑戦を続ける中、2007年に「アサヒスタイルフリー<生>」を発売。当時、従来品より糖質をカットした「糖質オフ」の商品は発売されていたが、「糖質ゼロ」は業界初。
西山さんは振り返る。
「せっかくなら、糖質オフよりもゼロのほうがお客さまにとっては嬉しいのでは、という発想から開発が始まりました。ただし、糖質はおいしさの根源でもあるので、『糖質ゼロ』とおいしさの両立は難しい課題でした」
一般的にビールは、麦芽、ホップ、水、酵母を原材料として発酵・熟成させることで造られる。この工程でアルコールや炭酸ガスが生まれ、ビールならではのうま味や飲みごたえが形成される。一方で、原料や製法に由来する糖質やプリン体も含まれる。
そこで、「アサヒスタイルフリー<生>」は、独自の技術によって糖質ゼロを実現しながら、爽快な飲みやすさを追求した。その後もアサヒビールの技術は進化を続け、2009年には「アサヒオフ」を発売。現在ではプリン体ゼロ(※2)・糖質ゼロを実現している。
「『ゼロ』が増えるほどおいしさとの両立が難しくなりますが、研究メンバーが日々、技術改良を重ねてスタイルフリーシリーズを進化させています」
そんなアサヒビールが満を持して、スタイルフリーブランドの最新商品となる発泡酒「アサヒスタイルフリー トリプルゼロ」を2026年3月に発売した。
“3つのゼロ”とおいしさの両立という革命
「アサヒスタイルフリー トリプルゼロ」は、発売1カ月で販売本数1000万本を突破。購入者数も同スペック従来商品の5.4倍(前年同月比)を達成するなど、快進撃を続けている。
クリアブルーのパッケージに記されたのは、「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」「甘味料ゼロ(※3)」の3つ。これが「トリプルゼロ」の由来だ。「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」に「甘味料ゼロ」を加え、3つのゼロと本格的な飲みごたえの両立を目指した。
では、その味わいはどのように生み出されたのか。
「試作品をお客さまに試していただいたところ、味わいに関する複数の項目で従来品を上回る評価を得ることができました。また、“従来品より圧倒的においしい”という評価をいただき、私たちも自信を持っています」と、スタイルフリートリプルゼロブランドマネージャーの大石彩帆さんは話す。

しかし、「ゼロ」が増えるごとにおいしさとの両立が難しくなるのではないか。なぜ「ゼロ」を追加しても“圧倒的”なおいしさを実現できたのか。その素朴な疑問を梶谷アナウンサーがぶつけた。
「開発は、最初から順調だったわけではありません。初期の試作品をお客さまに飲んでいただいたところ、評価は想定以上に厳しく、求められる水準とのギャップが明らかになりました。そこで従来の延長線上ではなく、製法そのものから見直し、ゼロから開発し直すことにしました」(大石さん)
一般的に、ゼロゼロ(※4)系商品は、調合によって「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」を実現しながら、ビールらしい味わいを整える方法が用いられてきた。味に厚みや奥行きを持たせるうえで、甘味料も重要な役割を担っていた。
「従来の方法では、お客様が求める本格的な味わいを実現することに限界がありました。そこで、これまで追求してきたおいしさを超えることを目指すためには醸造・発酵の工程がマストだという結論にたどり着いたのです」(大石さん)
開発チームが選んだのは、ビールと同様の醸造・発酵技術を用いるアプローチだった。これまで培ってきた技術を生かし、麦芽由来のうまみを引き出しながら、糖質とプリン体を取り除く製法を構築。発酵による味わいを生かすことで、甘味料に頼らず、本格的な飲みごたえを実現した。こうして「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」「甘味料ゼロ」という“3つのゼロ”とおいしさを両立させた「アサヒスタイルフリー トリプルゼロ」が誕生したのだ。

変わる「健康への向き合い方」に寄り添う
2026年10月で、2020年から段階的に行われてきた酒税見直しが完了し、ビール系飲料の税率が一本化される。発泡酒や新ジャンルの税負担は重くなり、市場環境の変化も予想される。それでもアサヒビールは、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場の拡大が続くと見ている。
「健康は人生にとっての重要なテーマであり、消費者のみなさんの関心事であり続けるので、税制が変わって負担が増えても、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場は今後も堅調に拡大していくと予測しています。ただ、健康への向き合い方は変わってきていると感じます」(西山さん)
「以前は、こうした商品は体への配慮を優先して選ぶもの、というイメージが強かったと思います。しかし今は、技術の進歩や商品の広がりによって、『おいしく楽しみながら、自分にも配慮できる』という前向きな選択肢になりつつあります。味わいも大切にしながら、日々の一杯として選ぶお客さまが増えていると感じています」(大石さん)
そして二人はこう締めくくった。
「アサヒスタイルフリーブランドは、そうした前向きなニーズに寄り添っていけるよう、味を磨き続けていきたいと思っています」

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※1 食品表示基準による。
※2 100㎖当たりプリン体0.5㎎未満を「プリン体0」と表示。
※3 原材料には糖類を使用。
※4 ゼロゼロは、プリン体ゼロと糖質ゼロのことであり、表示基準は※1~※2を参照。
