2026年、鹿児島県内ではすでに約1100人が熱中症の疑いで病院に搬送され、そのうち5人が死亡している。強い日差しと高気温が続く中、「脱水は自覚しづらい」と医師は言う。尿の色や爪で確認できる簡易チェック法、そして薬の服用にまつわる意外な落とし穴まで、専門家たちが現場の声をもとに注意を促している。

6月から8月14日までで約1100人搬送、5人死亡

気温が高く強い日差しが続く鹿児島県内。熱中症の集計が始まった6月から8月14日までの間に、約1100人が熱中症の疑いで病院に搬送され、5人が命を落とした。

死に至るおそれのある熱中症の主な原因は「脱水」とされている。しかし脱水は自覚しづらく、気づいたときにはすでに症状がかなり進んでいるケースも少なくない。

では、どうすれば早い段階で脱水に気づけるのか。鹿児島市立病院の吉原秀明救命救急センター長に聞いた。

尿の色と"爪"で分かる脱水サイン

吉原センター長が最初に挙げた方法は「尿の色」によるチェックだ。

鹿児島市立病院 吉原秀明救命救急センター長
鹿児島市立病院 吉原秀明救命救急センター長
この記事の画像(7枚)

「5段階の上2つは特に問題ないが、真ん中まできたら、何か経口摂取を増やしていかないと。下2つの段階まで行くと腎臓の機能に影響しているかもしれないレベル。要注意」

尿が濃い黄色や茶色に近づくほど、体内の水分が不足しているサインだという。色を目安にするだけで、脱水の進行度をある程度把握できる。

もう一つ、より手軽なチェック方法が「爪」を使ったものだ。

「爪には毛細血管がたくさん走っているので、圧迫して解除したときに、通常であれば2秒以内に色が戻ってくるが、戻りが悪いときは、体の中の水分不足で末梢まで血流が十分に保てていない」

爪を数秒押してから離し、色が戻るまでの時間を確認するだけでよい。特別な道具も不要で、外出先でもすぐに試せる方法だ。

被災地では「10分おきに熱中症」――高齢者の"遅れる渇き"に注意

吉原センター長は8月1日から、熊本地震の応援として被災地に入っていた。その現場でも、熱中症の深刻さを目の当たりにしたという。

「氷川の病院では、発災後すぐに熱中症の人が多発して『10分おきに熱中症の人が来て大変だった』と話していた」

避難所や被災地では、涼しい場所への移動が困難なケースも多い。そのような状況では、環境の整った場所に移ることが最善の対策になると吉原センター長は説明する。

さらに強調したのが、高齢者特有のリスクだ。

「『喉が渇く』という水を取るためのサインも高齢者は遅れがち。我慢強いところもあるかもしれないが、『定期的に水分を取るんだ』という意識付けが大事」

喉の渇きを感じてから飲むのではなく、渇く前に意識的に水分を補給することが、高齢者にとって特に重要だという。

解熱鎮痛剤が"逆効果"になることも

熱中症への対処において、見落とされがちなのが薬との関係だ。県薬剤師会薬事情報センターの井上彰夫所長は、熱中症による頭痛に解熱鎮痛剤を使うことへの注意を呼びかける。

解熱鎮痛剤
解熱鎮痛剤

「痛みが軽減しても、熱中症のそもそもの改善に繋がっていない。軽減されてしまうことで、さらに無理が続いて、重篤な熱中症の症状が出てしまうおそれがある」

頭痛が和らいだからといって、熱中症そのものが回復したわけではない。むしろ痛みが隠れることで、危険な状態が見えにくくなる可能性がある。

加えて、熱中症による脱水で腎臓の機能が弱まっている状態で解熱鎮痛剤を服用すると、腎障害を起こすリスクもあるという。薬を飲む前に、熱中症の疑いがないかどうかを確認することが重要だ。

県薬剤師会薬事情報センター 井上彰夫所長
県薬剤師会薬事情報センター 井上彰夫所長

「定期的に水分を取るんだ」という意識を

尿の色を確認する、爪を押して色の戻りを見る、水分を定期的に補給する――いずれも今日から実践できる対策だ。気温の上昇が続く見通しの中、県内各地で熱中症対策を意識する日々はしばらく続く。専門家たちの言葉を胸に、自分自身と周囲の人の体調変化に目を向けていきたい。

【動画で見る▶【熱中症】脱水に気づくには 薬の服用も注意 】

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。