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地図記号に刻まれた先人からの警告 「自然災害伝承碑」が伝える、災害から命を守るメッセージ〈宮城発〉|FNNプライムオンライン
常識が通用しない…いま備える防災

地図記号に刻まれた先人からの警告 「自然災害伝承碑」が伝える、災害から命を守るメッセージ〈宮城発〉

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石碑に残された記録や、今も地形に残る洪水の爪痕。国土地理院が2019年に制定した「自然災害伝承碑」の地図記号は、過去の災害を風化させないための可視化された警告だ。制定されたきっかけには、風化して忘れ去られてしまった災害の記憶が招いた犠牲があった。

制定のきっかけは100年前の教訓が伝わらなかった悲劇

「自然災害伝承碑」の地図記号
「自然災害伝承碑」の地図記号
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国土地理院のホームページには、全国におよそ2500か所、宮城県内には89か所の「自然災害伝承碑」が登録されている。この地図記号が制定されたのは2019年のことだ。
なぜ「2019年」だったのか。国土地理院東北測量部の清水乙彦さんによれば、その前年の平成30年7月豪雨が直接のきっかけだという。

西日本を中心に甚大な被害をもたらしたこの豪雨で、広島県坂町では大規模な土砂災害が発生した。その場所には、100年以上前に同じような水害が起きて多くの犠牲が出たことを伝える「水害碑」が立っていたのだ。

国土地理院東北測量部 清水乙彦さん
国土地理院東北測量部 清水乙彦さん

国土地理院東北測量部 清水乙彦さん:
そういった教訓が100年以上過ぎて風化していく、忘れられていく。ちゃんと碑の内容が伝わっていれば犠牲がもっと少なく抑えられたんじゃないか。

この教訓を受け、過去の災害を記した碑を地図記号として可視化する取り組みが始まった。記憶を「見える形」にすることで、忘却に抗う仕組みを作ったのだ。

地図記号が示す「過去の災害」の記憶

登米市中田町の北上川沿いを、東北福祉大学で地形学を研究する水本匡起准教授と歩くと、地図記号が示す場所に石碑が姿を現した。

そもそも、自然災害伝承碑とは、地震や津波、洪水など過去の災害の様子や被害が記載された石碑やモニュメントのことだ。登米市の碑には、明治8年の大洪水と昭和22年のカスリーン台風による被害という、2つの出来事が記されていた。
水本准教授によればこの石碑には、「堤防が幅250メートルにわたって決壊して大洪水になったことが克明に細かく書いてある」という。

堤防近くにある「カラケ沼」
堤防近くにある「カラケ沼」

石碑の記録は文字だけではない。現地の地形そのものが、繰り返された洪水の証拠を今に伝えている。

堤防近くには「カラケ沼」と呼ばれる沼をはじめとして、多数の沼が点在している。

東北福祉大学 水本匡起准教授:
堤防が決壊して水がどんどん流れたときに彫られてできた沼。(カラケ沼は)中田の町史によれば江戸時代の洪水の決壊でできたもの。(沼が点在しているのは)この地域は何回も堤防が決壊して、そのたびに大洪水を起こしていることを表している。

石碑が語り、地形が語る。この一帯が繰り返し災害に見舞われてきた土地であることは、複数の証拠が重なり合って証明されている。

「同じ場所で繰り返す災害」の実態

200年以上前の洪水を伝える自然災害伝承碑
200年以上前の洪水を伝える自然災害伝承碑

丸森町でも、令和元年東日本台風の被害を後世に伝えるために建てられた石碑のほぼ同じエリアに、江戸時代の1700年代、200年以上前の洪水を伝える碑が残っていることが分かった。やはり災害は同じような場所で繰り返すことがあるということだ。

丸森町の保科郷雄町長も、この取り組みの重要性を受け止めている。

丸森町 保科郷雄町長:
当時は強い思いで伝承しなければと思うが、忘れてしまう。(地図記号のように)"見える形"の中で災害があったということが分かれば、気付いてくれる人もいるだろう。

登録されていない碑も 「発見する」楽しみが防災に

美里町にある未登録の自然災害伝承碑
美里町にある未登録の自然災害伝承碑

課題も存在する。
美里町の川に囲まれたエリアを訪れると、「明治43年8月洪水記念」と刻まれた石碑が見つかった。しかし国土地理院のホームページ上では、このエリアに地図記号は一件も登録されていない。

自然災害伝承碑が地図記号としてマップ上に示されるためには、市区町村からの申請が必要だ。そのため、現存する伝承碑が未登録のまま埋もれているケースが各地にある。
美里町では「町民からの声があれば詳細を調べたうえで前向きに申請していきたい」としている。

東北福祉大学 水本匡起准教授
東北福祉大学 水本匡起准教授

水本准教授は、自然災害伝承碑を地域や学校単位で探すことの意義を強調する。

東北福祉大学 水本匡起准教授:
自然災害伝承碑があるということは、昔の人が私たちに伝えたい気持ちが強いということ。私たちがそのメッセージを真剣に受け取らなければいけない。地域単位、学校単位でこうした自然災害碑を発見するのは、地域の防災につながる素晴らしい活動。発見を楽しみながら防災につなげてほしい。

自然災害伝承碑のマップは国土地理院のホームページから誰でも確認できる。もし身近な場所で登録されていない碑を見つけた場合は、市区町村か国土地理院への報告が望ましい。

先人が命がけで刻んだメッセージに耳を傾けること。それが次の災害から命を守る第一歩となる。

仙台放送
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