福岡県議会での多額の補助金を使った海外視察の問題を発端に、地方議会における税金の使途に厳しい目が向けられている。
高知市議会の議員連盟にも20年以上にわたり年間70万円、総額1500万円以上の補助金が交付され、観光振興を目的とした飲食などに使われていたことが分かった。
20年以上にわたり補助金を使用
高知市議会の全議員32人が加入する任意団体「観光振興議員連盟」は1998年に発足した。
活動費として年間70万円の補助金が市から交付されており、昨年度の収支報告書には、議員32人が参加した観光びらきパーティー券購入費として16万円、観光関連業界の忘年会や懇親会費などとして14万8000円が計上されていた。
市の補助金交付基準では「交際費、慶弔費、飲食費、懇親会費などは経費として認めない」としつつも、地域奉仕・地域貢献活動などのための経費は例外としている。
高知市側は、こうした会合における議員の飲食費などを地域貢献にあたると解釈し、20年以上にわたり交付を認めてきた。その結果、これまでに交付された補助金は1500万円以上に上るとみられている。
しかし、他都市の状況を調査した結果、全国の中核市で任意団体の議員連盟に補助金を出している自治体は高知市と和歌山市のみの可能性が高いことが判明した。
急転直下の「補助金辞退」方針
他の自治体での問題発覚をきっかけに、高知市議会の清水おさむ議長は事務局に対し、過去のいきさつや現在の支給状況について調査を指示した。
15年間、議員連盟の会員として活動してきた清水議長は、「これまで補助金が問題とは恥ずかしながら感じていなかった。議員連盟への補助金は受け取らない方がいいと思う」と思いを語る。
調査結果を受け、議員連盟は9月8日に緊急の役員会を開催し、活動費として補助金を使うことが妥当かどうかを協議した。
竹村邦夫会長は「市民的感覚をみてこれはやめよう。予算は我々のお金でやるしかない」と語り、今後は補助金を受け取らない方針を決定した。
専門家が指摘する「会計の透明性」と「説明責任」
行政学を専門とする神戸学院大学の中野雅至教授は、法人格のない任意団体に対する公金の支給について、その根拠から疑問を呈する。
「どうして高知市は任意団体までにも補助金、つまり税金を支給する対象にしたのか。まず問われなければならない」
高知市の姉妹都市である北海道北見市への旅費として3人分、27万円が計上されている点についても、「地域活性化に資するとしても、議員には政務活動費が与えられ、なぜ2重にもう一つ補助金がいるのか。これも理由がいる。飲み食いだけど、コミュニケーションとなって観光に資すると言えるかどうか」と疑問を投げかける。
これに対し、議員連盟の竹村会長は観光振興の議員活動は政務活動費だけでは限界があることを主張する。
「政務活動費は飲食が伴ったらいかん。観光振興議員連盟は心の底からの意見を聞ける。全会派が」
しかし中野教授は、飲食が実際の成果に結びついているかどうかの説明が不可欠だと強調する。
「例えば、この活動を行うことによって観光客数や売り上げがこれだけ増えたとか、広報度がこれだけ上がったとか、そういうことを示さないと収支報告書だけでは不十分。今の地方分権の時代、透明性の時代に照らして不適切とは言える」
信頼回復に向けて
長年続いてきた慣行が、昨今の「透明性の時代」という基準に照らし合わせて見直されることになった。
税金を原資とする活動において、市民の納得と理解をいかに得るのか、議員たちの真摯な説明責任が求められている。

