少子化が進む中、全国の女子大学の数は1998年の98校から2025年には66校へと、約3割も減少した。宮城県内でも2つの女子大学が来年度からそれぞれ異なる選択をした。一方は共学化を決断し、もう一方は「女子大学だからこそ育てられるものがある」と存続への道を歩む。転換期を迎えている女子大学の現在地を追った。
女子大のオープンキャンパスに男子生徒
6月27日、仙台白百合女子大学のオープンキャンパスに、見慣れない光景が広がっていた。男子生徒の姿である。この日、10人の男子生徒が会場を訪れた。男子がオープンキャンパスに足を運ぶのは、今年が初めてのことだ。
同大学の前身となる短期大学が開学したのは1966年。1996年に4年制大学として開学し、東北地方では唯一の4年制カトリック大学として、女子学生を受け入れてきた。2027年度からいよいよ共学化に踏み切り、大学名は「仙台白百合大学」へと改められる。
訪れた男子生徒からは、「一期生になれたら、ワクワクする」「男女比の不安はあるが、先輩たちも優しかった」などと、期待の声が聞こえた。
共学化初年度に向け、大学側もきめ細かな準備を進めている。相談コーナーには男子生徒専用のブースが設けられ、新たなコースや「学科横断型」で学べるカリキュラムも整備していく方針だ。
女子大か共学かではなく、何をどのように学ぶか
大学創立60周年という節目を機に下した共学化という決断の背景には、単なる少子化対策にとどまらない教育理念がある。
仙台白百合女子大学 加藤美紀学長:
女子大学の使命を果たしたその先の新たなステージとして、多様な価値観やニーズ、背景をもった学生が共に学ぶ、多様性が響きあうようなキャンパスでこそ、1人1人の命が輝くというスクールモットーを実現できるのではと考えた。女子大学か共学かという形態ではなくて、何をどのように学んで、そして人間として成長していけるか。教育の中身がまさに問われている。
変化は大学にとどまらない。仙台白百合学園小学校も来年度から共学化となる。細渕元校長は「このタイミングはチャンス」と前向きに受け止め、新しい英語カリキュラムの導入など、新たな学校づくりへと舵を切る。
在学生も、「性別問わずいろんな人がいた方が視野も広がって、いろいろな価値観を受け入れられる姿勢が身につくと思う。新しい白百合になるので、楽しみな気持ち」と、変化への不安よりも、期待が勝っているようだ。
「女子大だからこそ磨ける」宮城学院女子大学の決断
同じ宮城県内にあって、女子大学を存続させるのが宮城学院女子大学だ。1886年に宮城女学校として誕生し、1949年に大学を設置。一貫してキリスト教に基づく女子教育を続けてきた歴史を持つ。
宮城学院女子大学 芦名定道学長:
日本の社会構造は男性のリーダーシップ。圧倒的に男性社会。その中で女性のオリジナリティ、自分の個性を伸ばすには、それにふさわしい環境が必要。女子大学であるからこそ、自分のリーダーシップや、自分の個性を磨ける。
こうした方針のもと、宮城学院女子大学では2025年、ジェンダー教育研究センターを新設。必修科目「女性と人権」をはじめ、ジェンダー関連の講義や研究に力を入れ、特色ある大学づくりを進めている。
ジェンダー教育研究センターの石田依子センター長は、「固定観念、偏見、イデオロギーで不便を感じているのは女性だけではない。自分としてどう生きるかということを考える視点を持ってもらいたい」と話す。
在学生も、「女性にフォーカスした授業があって興味が持てる」「女子しかいないので気持ちが楽で、教室も小さく教授と近い距離で学べるのはいい点」と、この大学ならではの強みを感じている。
カフェのような空間に改修された自習室や、車通学の学生向けの駐車場整備など、学生が使いやすいキャンパス環境を整え、ハード面の整備も着々と進んでいる。
「主体的に動く気持ちが自然と身についた」卒業生が語る女子大学の価値
女子大学での学びは、社会に出てからどう生きるのか。
宮城学院女子大学食品栄養学科を2015年に卒業した千葉朱詠さんは、2022年に会社を立ち上げ、管理栄養士の資格を生かした食品開発やアスリート向けの栄養サポート事業を展開している。
千葉朱詠さん:
共学だと、例えば班で何かする時、女子は行きづらいということがあるかもしれないが、女子大だと主体的に動く気持ちが自然と身についた。仕事をするようになり、男女、年齢関係なく意見や考えを話す機会がたくさんあるが、今に生きている。
女子大学という環境で育まれた自主性や積極性が、社会に出た後の実践力につながっているという千葉さんの言葉は、女子大学の存在意義を改めて問い直させる。
共学化か、存続か。仙台白百合女子大学と宮城学院女子大学、2校の選択は対照的だが、それぞれが目指す教育のビジョンに則ったものだ。少子化という波の中で、どんな学びの場をつくり、どんな人間を育てるか。転換期を迎えた女子大学の模索は続いていく。

