熊本ではこの10年で3回目となる最大震度7の地震が発生し、災害はいつ起こるかわからないことを改めて考えさせられます。
そうした中、28日に発生した震度7の能登半島地震を教訓に、住民の災害対応をまとめた地区防災計画づくりが高岡市の伏木地区で一斉に始まりました。
今月19日、高岡市の伏木コミュニティセンター。伏木小学校下18自治会の役員が集まりました。
*伏木校下自治会連絡協議会 山崎泰邦会長
「みんなでこの地域の皆さんで手を携えながら全員が避難できるように。そんな志を持った地域にしていきたい」
地区を挙げて取り組むのは、災害に備えた備蓄から要支援者の把握、避難経路や避難方法の確認、避難所の運営までをとりまとめた地区防災計画づくりです。
伏木地区では小学校下すべての18自治会単位で今年度中の計画作成を進めることにしています。
あまり聞き馴染みのない「地区防災計画」についてどういうものなのか、福島記者と2回に渡ってお伝えします。
初回はこちら、富山県が能登半島地震のあと、2025年5月に発行した「地区防災計画作成の手引き・事例集」によりますと、地区防災計画は災害への備えや災害発生時の行動を「地域のみんな」で決めておくことで、被害を最小限に食い止めようというものです。
災害の規模が大きくなればなるほど行政の対応が間に合わなくなるため、地域で助け合う行動が被災者の生死を分けることにもつながると、東日本大震災後に内閣府が制度化しました。
10年以上たっていますが進捗状況はどうですか。
ほとんど進んでいません。県防災課によりますと、これまでに県内で作られた地区防災計画は44。このうち半数の22は能登半島地震の被害が大きかった氷見市で市内全域の自主防災会が作成したものです。
それで、今回取材した高岡の伏木地区ですが、伏木小学校校下の18の自治会が足並みを揃えて今年度に一斉に計画を作ろうという動きで、そこにはまだ計画を作っていない地区住民のモチベーションにつながる大きなヒントがありました。
地元で介護施設を運営し、伏木校下自治会連絡協議会の会長を務める山崎泰邦さんです。
前の会長からの申し送りの中で最重要事項、地区防災計画づくりには能登半島地震での苦い経験を生かしたいと考えています。
*伏木校下自治会連絡協議会 山崎泰邦会長
「何から手を付けていいか、分からなかった。高齢者を助けなければ、避難袋を持って出なければ、みんなそう思っていたはず、いざなってみたらみんな勝手に(避難所に)来ているだけ。統制も取れない、烏合の衆みたいになってしまった」
地震発生当時、山崎さんも自宅の玄関に用意していた緊急持ち出し袋を手にすることなく避難所へ。
初めての事態に何もできないことが分かった、これが伏木地区の住民が得た能登半島地震の教訓でした。
*伏木校下自治会連絡協議会 山崎泰邦会長
「何をやっていいか分からない状況になる。冷静に1、2、3、これをする…とはならない」
地震被害の復旧がある程度進んだ去年9月、協議会で計画づくりの準備が始まりました。
大きな役割を果たしたのが副会長の樋爪敏夫さん、現役時代に培った設計図の書き方に倣って一枚にまとめたのが液状化現象など能登半島地震の被害分布と高岡市が発行した水害、津波、土砂災害のハザードマップ。
*伏木校下自治会連絡協議会 樋爪敏夫副会長
「地図と格闘して作った」
伏木地区18自治会の中で災害ごとに被害の有無があることが分かりました。
*伏木校下自治会連絡協議会 樋爪敏夫副会長
「ここは水害はないけど土砂災害の被害の受けやすいところ。それに合った対策を作る必要がある。これが伏木全体の防災計画の地図これからスタートしようと」
今回、伏木小学校校下18自治会が一斉に計画を作るのには、こんな考え方が盛り込まれています。
*伏木校下自治会連絡協議会 山崎泰邦会長
「避難が必要ない自治会は関係ないとなるとまずい。逃げなくでいい自治会は避難所の運営に回る、エリア全体のみんなで災害が起きた時に助け合う機運を完成させたい。伏木の地区地区(で一斉につくる)防災計画の真髄」
こちら18自治会の水害、津波、土砂災害の被害想定の有無です。
確かに、被害想定がない自治会があり、常にみんながみんな逃げなければならないことにはならないという見立てです。
被災した自治会は計画に沿って災害対応にあたる一方、行政の公助に限界がある中で他の自治会が支援してくれるのは本当にありがたいですね。
はい、高岡市はこの考えに倣って例えば、庄川と小矢部川や海沿い、山あいの地域で助け合う仕組みが構築できないか検討したいとしています。
能登半島地震で大きな被害に見舞われた伏木地区の動きから災害時、何から手を付けたらいいか分からなかった、つまり何もできなかったという教訓、そして、被害がなかった自治会は、被災した自治会を助けてあげる、この2つがまだ計画を作っていない多くの地区が学ぶべきポイントだと思います。
