家族でキャンプをしていたこともあり、車には寝袋や、カセットボンベなどの火を使える道具を積んでいました。これらには本当に助けられました。3月の東北はまだ寒く、寝袋があるだけでもかなり違います。

避難生活ではキャンプ道具を活用
避難生活ではキャンプ道具を活用

一方で、電気だけはどうにもなりません。

当時使っていた古いiPhoneでも、通信がつながるタイミングには、Twitter(現・X)のDMで連絡を取ったり、YouTubeでウェザーニュースの配信を音声中心で聞いたりできました。暗い車内で、どこで何が起きているのか分からない中、音声だけでも情報が入ってくる。それだけで、気持ちの持ちようは大きく変わります。

けれど、充電が切れれば情報も途切れてしまいます。乾電池式の充電器は持っていましたが、すぐに心もとなくなりました。

そこで気づいたことがあります。食べ物や水は備蓄できるうえ、炊き出しや支援物資として受け取れることもある。でも、停電した場所で使う電気は、自分で備えていなければすぐには手に入りません。

わずかな明かりは確保できても、車内は暖かくならない。スマートフォンの充電や、明かり、電気毛布に使える電気があれば、どれほど心強いだろう。「車の中に電気を貯めておけたらいいのに」と、あの頃、何度も思いました。

2011年当時は、今のような大容量のモバイルバッテリーは一般的ではなく、乾電池を4本ほど入れてスマートフォンを充電するような製品が中心でした。乾電池がたくさんあっても、情報収集を支え続けるには足りません。避難生活が落ち着いたあとも計画停電で冷蔵庫や照明が止まり、「各家庭が電気を貯めておく必要がある」という思いは、さらに強くなりました。

小さな箱に電気を貯める感動

その思いが形になったのは、2016年です。