鹿児島県霧島市の温泉施設近くの川で先週見つかった遺体が、行方不明となっていた熊本県八代市の保育園児・田中嶺臣ちゃん(5歳)であることが判明した。警察が7月24日夕方に発表した。遺体発見から1週間が経過した現場近くには、多くの花やお菓子が手向けられていた。父親は取材に対し、「帰ってきてくれて良かったという思いと、生きていてほしかったという思いがある」と、胸の内を静かに語った。

温泉施設の浴室から忽然と姿を消した

嶺臣ちゃんが行方不明となったのは、6月21日のことだった。鹿児島県霧島市隼人町嘉例川にある温泉施設「かれい川の湯」で家族と入浴中、両親が3分ほど目を離した際に姿が見えなくなった。

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浴室の窓が開いており、施設のそばに川が流れていたことから、嶺臣ちゃんが窓から外に出て川に落ちた可能性が高いとみられた。警察と消防はのべ1000人以上を動員して捜索活動を行ったが、大雨後で川の流れが速く、捜索は難航を極めた。

川が錦江湾につながっていることから、両親はボランティアの協力を得て海上からの捜索も実施した。父親は当時、「海に出て捜索する機会はこういうことでしかないと思うので、このいい機会で見つからなかったのは残念」と語っていた。

川の水量が減った17日、700メートル下流で発見

事態が動いたのは7月17日。川の水量が減少したことを受け、警察と消防合わせて約70人が改めて捜索を実施した。その結果、かれい川の湯から約700メートル下流の地点で、身長115センチメートルの男の子とみられる遺体が発見された。

霧島市消防局・狩川靖局長は発見の困難さについて、「発見された場所は視界などが良くなく、見えなかった部分や流速が速く近づけなかったというポイントのひとつ」と説明した。大雨の影響で水かさが増し、捜索隊がたどり着けなかった場所に、嶺臣ちゃんはいたのだ。

遺体が見つかったその日、父親は鹿児島テレビの取材に対して次のように話した。「大雨の中に流されずによく頑張ってくれたなと。もし自分が(嶺臣ちゃんに)会ったときは褒めてあげたい。『よく頑張ってくれたね』と。最後に『パパが助けてあげられなくてごめんね』と言いたい」

子を思う父親の言葉は、多くの人の胸を打った。

DNA鑑定で身元確認、死因は捜査中

7月24日、警察はDNA鑑定などの結果、発見された遺体が田中嶺臣ちゃんであることを正式に発表した。死因については捜査中だが、遺体に死亡につながる大きな損傷は認められず、現時点では事件性をうかがわせるものはないとされている。

身元確認の連絡を受けた父親は、改めて取材に応じた。「帰ってきてくれて良かったという思いと、生きていてほしかったという思いがある。嶺臣ちゃんが死んだということを受け止めるのはつらい。これからは家族のことだけを考えたい」。短い言葉の中に、長い捜索の日々と、深い喪失感が凝縮されていた。

約1か月にわたる捜索の末、嶺臣ちゃんはようやく家族のもとへ帰ってきた。その事実が、深い悲しみとともに受け止められている。

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鹿児島テレビ
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