熊本県八代市の保育園児・田中嶺臣ちゃん(5)が鹿児島県霧島市の温泉施設で行方不明になってから、7月5日で2週間が経過した。「まだ諦めていない。形はどうあれ連れて帰りたい」。川の複雑な地形と増水が捜索を阻む中、父親は毎日現場に足を運び、息子の帰りを待ち続けている。
両親が目を離した3分間に何が
嶺臣ちゃんが姿を消したのは6月21日のこと。家族で訪れていた霧島市の温泉施設「かれい川の湯」で、両親が約3分間目を離した際に行方不明となった。浴室の窓は開いており、施設のそばは川に面していることから、警察は嶺臣ちゃんが窓から外に出て川に落ちた可能性があるとみている。

行方不明になって以降、施設は休業を続けていたが、7月1日から営業を再開した。支配人は「捜査協力をしつつ情報提供をしつつ、お店を再開した。いち早く見つかってほしいのが第一」と語った。
延べ241人を投入するも、難航する捜索
発生から10日間で、霧島市消防局は延べ241人の消防隊員と団員を捜索に投入した。2週間が経過した現在、警察は専従の捜索体制を設けず、通常業務の範囲内で行方を探している状況だ。
捜索がこれほどまでに難航している背景には、現場の地形的な複雑さがある。霧島市消防局の狩川靖消防局長は次のように説明する。
「透明度も低いし流速も速いので、困難な捜索活動になっている。俗に言う『淵』という水深が深いところもあれば、岩だらけの流速が速い場所もある。川の両側に草が生い茂っていて、捜索には難しい地形がある」

さらに「発電所の水の取り入れ口など複雑な地形の要素もある」とも指摘しており、雨による増 水も捜索の障害となっている。霧島市消防局は一旦捜索を打ち切っているものの、今後は水が引いた時期を見計らって、隊員と団員による一斉捜索を改めて計画しているという。狩川消防局長は「以前も、水が引いた後に発見した水難事故もあった。ポイントを検証して捜索したい」と述べており、水位の低下を待ちながら次の機会をうかがっている。
父親は今日も川岸に立つ
捜索規模が縮小する中でも、嶺臣ちゃんの父親は毎日現場を訪れている。5日には民間業者にダイバーを依頼し、川の中の捜索も行ったという。
行方不明から2週間が経過した今も、手がかりはひとつも見つかっていない。それでも父親は鹿児島テレビの取材に対し、「まだ諦めていない。形はどうあれ連れて帰りたい」とコメントしている。
5歳の男の子の帰りを、家族はただひたすら待ち続けている。

