1979年に鹿児島県大崎町で起きた「大崎事件」で、弁護団が7月14日までに新たに11件の証拠を鹿児島地裁に提出した。これは同事件の再審請求において提出された証拠としては最多の数であり、物証に乏しいこの事件の核心——自白の信用性——に真っ向から切り込む内容となっている。
事件の概要と原口アヤ子さんの訴え
大崎事件は、1979年、鹿児島県大崎町の牛小屋の堆肥の中から中村邦夫さんの遺体が発見されたことに始まる。殺人などの罪で逮捕・起訴された中村さんの義理の姉、原口アヤ子さんは10年間服役したのち、一貫して無実を訴え続けている。現在は5回目の再審請求、すなわち「第5次再審請求」の審理が進行中だ。
7月14日、鹿児島地裁で進行協議
7月14日、鹿児島地裁において第5次再審請求の第3回進行協議が行われた。弁護団・検察・裁判官が参加し、弁護団は新たに提出した11件の証拠についてその内容を説明した。
協議後の会見で、大崎事件弁護団の鴨志田祐美共同代表は強い言葉でこの事件の本質を語った。
「"供述弱者"を責め立てて、言ってみれば、やってもいない殺人事件をでっち上げていったというこの本質に、もう一度、今、第5次再審で迫っていく」

新証拠の柱は「自白の信用性」への反証
大崎事件は物証に乏しく、確定判決を支えているのは、共犯者として原口さんとともに逮捕された親族3人の自白だ。今回提出された11件の新証拠は、その供述の信用性を覆すことを目的として提出されている。
新証拠の中でとりわけ注目されるのは、以下の2点である。
心理学の専門家による鑑定書:親族3人の供述内容を分析したもので、「供述には多くの矛盾点があり、実体験に基づいておらず、捜査機関による誘導」の可能性を指摘している。
再現実験の報告書:確定判決が「タオルで首を絞めて殺された」としている部分を検証するため、初めて再現実験を実施。弁護団はその結果をもとに、タオルで窒息死させることは困難であると主張している。
弁護団の泉武臣事務局長は「いずれにしても、自白が信用できないところに結びつけるための証拠を出しているという認識」と述べ、証拠提出の意図を明確に示した。
高齢の原口さんに誓う「しっかりと応える」
現在も原口アヤ子さんは高齢でありながら、弁護団との面会の場でも懸命にその存在を示しているという。泉武臣事務局長は会見で、原口さんの誕生日に訪れた際の様子をこう語った。
「アヤ子さんは今にも起き上がろうとする感じで体を動かしてくれて、勇気づけられたし、しっかりと応えなければならない思いを強くした」

事件発生から約半世紀が経とうとしている今も、原口さんの無実を信じる弁護団の戦いは続いている。
次回の協議は10月15日
今回の進行協議は3回目となり、次回の協議は10月15日に開かれる予定だ。提出証拠の数が最多となった第5次再審請求が、どのような判断を引き出すことになるのか、今後の審理の行方が注目される。
【動画で見る▶大崎事件 弁護団が新証拠11件提出 第5次再審請求 初の再現実験も】

