鹿児島県内で今シーズン最高となる34.8℃を観測した7月14日。猛暑日一歩手前の厳しい暑さの中、農作業の現場では人も作物も、この夏も暑さとの戦いを強いられている。薩摩川内市のホオズキ農家では早朝に摘み取り作業を切り上げ、鹿児島市の障害者支援施設では空調服の導入や作業工程の見直しで対応を図る。現場を取材すると、10年前とは明らかに変わった夏の厳しさが浮かび上がってきた。

朝7時、すでに"タイムリミット"との戦い

薩摩川内市永利町のホオズキ農家、新屋彰啓さんの農業用ハウスでは、出荷の最盛期を迎えたホオズキの摘み取り作業が早朝から行われている。この時期、ハウス内の気温は日中に50℃ほどに達するため、作業は必然的に早朝に限られる。

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新屋さんは語る。「8時でもう30℃を超えている。一気に上がって40℃はアッという間。そうなってくるとここにはいられない」。それでも、体への負荷を最小限に抑えるため、「(体調が)おかしいと思ったら休む。無理はしないようにしている」と、こまめな休憩を心がけている。

ハード面での特別な暑さ対策は行っていないというが、作業時間を調整することで人はある程度、暑さを回避できる。しかし、ハウスの中で育つホオズキの実はそうはいかない。

作物にも忍び寄る高温の影響

2025年頃から、高温が原因とみられる影響がホオズキの実に出るようになったという。新屋さんは「きれいに色が付いてくれば良いけど下のほうは枯れてくる。艶と色をどこまで維持できるか」と、品質の維持に頭を悩ませる。

人が時間帯をずらすことで暑さをかわせるのとは異なり、作物は24時間ハウスの中で気温にさらされ続ける。年々強まる暑さは、農家の体力だけでなく、出荷する商品の品質にまで影響を及ぼし始めている。

空調服と作業工程の見直しで現場を守る

鹿児島市平川町にある障害者支援センター「セルプ鹿児島」でも、熱中症対策は待ったなしの課題だ。施設に通う14人が、ミニトマト・ピーマン・オクラといった野菜の収穫が最盛期を迎える畑で朝から作業に当たっている。

注目したのは、通所者全員が着用しているファン付きの空調服だ。施設が熱中症対策として購入し、夏場の屋外作業では全員着用を義務付けている。作業者に声をかけると「空調服などを使って暑さ対策をしています」「大丈夫です」と笑顔が返ってきた。

ファン付きの空調服
ファン付きの空調服

休憩のとり方にも工夫がある。この時期は30分に一回のペースで休憩を設け、水分と塩分をこまめに補給する。

施設の辻健太郎さんは、現場の変化をこう振り返る。「10年ぐらい前は一日外で作業をしても平気だったが今は暑さで昼からは作業ができない」。

そのため、午前中は畑作業や収穫した野菜の選別を行い、午後は室内での袋詰め作業に切り替えるなど、作業工程そのものを組み替えた。収穫した野菜は近くの物産館へと届けられる。

袋詰めされた野菜
袋詰めされた野菜

辻さんはさらに続ける。「日差しが強かったり、気温が上がると野菜の生長が止まる。水やりが大変になるかな。皆さんが体調を崩さないよう把握をしっかりすることが大事」。

鹿児島県内、今年最高の猛暑日も

この日、県内各地で気温は急上昇した。鹿児島市では今シーズン最高となる34.8℃を観測し、猛暑日(35℃以上)まで0.2℃という水準に達した。南さつま市加世田では今年最高の35℃、肝付町内之浦でも35℃の猛暑日を記録した。

暑さは数字だけの問題ではない。農業の現場では、作業できる時間が削られ、作物の品質が脅かされ、従事する人々の体への負担が積み重なっていく。それでも、丹精込めて育てた野菜や花は消費者のもとへと届けられる。今年の夏も、鹿児島の農作業現場では暑さとの静かな戦いが続いている。

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鹿児島テレビ
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